インドネシア発「RegTech」スタートアップのGani.AI、日本市場での展開を加速

(インドネシア、ASEAN)

ジャカルタ発

2025年12月19日

インドネシア発の「RegTech(注)」スタートアップのGani.AIが、日本市場での事業展開を加速させている。同社共同創業者兼COO(最高執行責任者)のティムール・ヌグロホ氏は125日、ジェトロのインタビューに応じ、ジェトロの支援などを活用しながら2025年度中に日本法人を登記する計画を明らかにした。将来的には、東京証券取引所での上場も視野に入れているという。

写真 ジェトロのインタビューに応じるGani.AIのティムール共同創業者兼COO(ジェトロ撮影)

ジェトロのインタビューに応じるGani.AIのティムール共同創業者兼COO(ジェトロ撮影)

同社の強みは、企業の法令・税務・会計コンプライアンスを支援するAI(人工知能)プラットフォームだ。主力製品のチャット型「Gani Assistant」は、契約書ドラフトの作成や多言語での法律相談に対応し、回答の根拠となる法令出典を提示する。現在は日本、オーストラリア、ASEAN・中東諸国など約20カ国の法律に対応している。また、同社の「Gani Atlas」は、契約書や社内規程を一括解析し、リスク条項の特定や統合検索ができる。すでに日本語版もローンチ済みで、国際的な情報セキュリティー規格ISO27001に準拠した運用を行うなど、日本企業が重視するセキュリティー体制も整えている。また、AIだけでは対応困難な案件を専門家に橋渡しする「Partner Connect」機能も備えている。

写真 Gani AssistantのUI(Gani.AI提供)

Gani AssistantのUI(Gani.AI提供)

Gani.AIは、インドネシア法の弁護士でもあるビンタン・ヒダヤントCEO(最高経営責任者)らによって設立された。企業が海外展開する際の法制度把握にかかる多大なコストや、汎用AIの法務分野での精度不足に問題意識を持ち、設立に至った。2024年8月にパイロット版をリリースし、2025年3月に商用ローンチした。ティムール氏はジェトロの取材に対し、「日本企業はコンプライアンスに対する意識が高く、また海外展開を目指す企業も多い。プロダクトとの相性がよく、積極的に開拓していきたい市場だ」と述べた。

(注)企業が守らなくてはならない法律や規制への対応を、技術で効率化するサービス・技術の総称。Regulatory(規制)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた言葉。

(平松耕介、キラナ・リンタン、林田勇太、蟹江燎真)

(インドネシア、ASEAN)

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