電気自動車(EV)による電磁界の測定分析結果、人体へのリスクなしとの判断
(ドイツ)
ミュンヘン発
2025年12月04日
ドイツ連邦放射線防護庁(BFS)は11月24日、電気自動車(EV、注)による電磁界の人体への曝露(ばくろ)リスクはないと判断できるとの測定分析結果
(ドイツ語)を発表した。同測定分析は、連邦環境・気候保護・自然保護・原子力安全省の助成金を活用し、2021年3月~2025年11月にわたって、EVにより発生する電磁界が人体に与える影響を明らかにするために実施された。
EVは脱炭素に貢献するモビリティにつながるものの、運転走行中に電動パワートレインから発生する電磁界が、運転者や乗客に影響を与える可能性がある。また、バッテリー式電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の充電中にも電磁界が発生する。両方のケースでの曝露リスクを判断するため、2つのシナリオに分けて電磁界が測定された。
シナリオ1では、運転走行中の電磁界が測定分析された。その結果、運転中の車内での電磁界の曝露分布は非常に不均一で、車内の人の脚部で高い曝露量を示したが、胴体と頭部への曝露量は非常に低かった。運転操作の違いによっても曝露量は変化し、加速時や制動時は高かった。さらに、実際の公道での電磁界曝露量はテストベンチでの値より高くなった。運転のスタイルによって、一時的に測定値がEUあるいは国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)ガイドライン2010の基準値を超えたケースはあったものの、人体への最大許容値を超えた値は検出されなかった。
シナリオ2では、充電中に発生する電磁界が測定分析された。充電中の車内での電磁界曝露量は運転走行中よりもおおむね低かった。また、直流充電では充電出力が交流充電より高いものの、曝露量は交流充電よりも低かった。充電ケーブルコネクタや充電ソケットの近くではICNIRP基準値を超えるケースがあった。ただし、人体や埋め込み型医療機器に対する電磁界リスクを示すものではないと判断された。
同測定分析は、ドイツでの公道走行を認可されている現行のEV(二輪車も含む)を用いて、テストコースだけでなく公道でも実施された。BFSは、これまでのEVの電磁界曝露に関する研究の中で最も詳細なものとしている。
(注)BEV、PHEV、ハイブリッド車(HEV)が対象。
(アンナ・グリンフェルダ)
(ドイツ)
ビジネス短信 6684f00fe9a0f1d6




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