11月の物価上昇率が前月比2.5%で3カ月連続の加速

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2025年12月22日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は12月11日、消費者物価指数(CPI)の2025年11月の上昇率が全国平均で前月比2.5%だったと発表した。9月から3カ月連続で2%を上回り、わずかながら加速した(添付資料図参照)。前年同月比(年率)では31.4%で、下げ止まっている。2025年1~11月の累計では27.9%となり、ルイス・カプート経済相は同日、X(旧Twitter)を通じて、「2017年(21%)以来の低い水準」と説明した。

11月の前月比の上昇率を項目別にみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは0.4%にとどまったが、季節変動要因のある品目を除いたコアインフレ率は2.6%、エネルギーや公共サービスなどの価格が規制されている財・サービスは2.9%の高い上昇率が続いた。

前月比の上昇率を費目別にみると、住宅・光熱・その他燃料が3.4%、交通が3.0%で平均上昇率を大きく上回った(添付資料表1参照)。ほかでは、CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)が2.8%、通信が2.7%だった。

11月のCPI上昇率の加速は、肉類の値上げが主な要因だとされている。INDECが調査した大ブエノスアイレス圏(ブエノスアイレス市および近郊)における食品、飲料、その他の消費者向け価格によると、アサード(バーベキュー)用の牛肉が前月比13.0%増、牛ひき肉9.5%増、その他の部位も8.4%増から10.2%増の範囲で増加した。12月11日付現地紙「ラ・ナシオン(電子版)」によると、アルゼンチン牛肉振興研究所や食肉関連会議所などは値上げの理由について、気候要因で出荷できる製品が不足したことに加えて、輸出が増えただけでなく、国内の消費量も増えたことと分析している。また、2024年の1人当たりの年間消費量が平均47キロだったのに対し、2025年は52キロに増加したという。クリスマスや年末には牛肉の需要が高まるため、今後も値上げが続く見通しだ。ジェトロが独自に調査した、首都ブエノスアイレスの12月12日時点の品目別の物価をみると、ひき肉やリブロースの価格が10月に比べて大きく値上げされたことが確認できる(添付資料表2参照)。

今後のCPI上昇率の見通しは、中央銀行がエコノミストらを対象に毎月実施する主要マクロ経済指標の予測値に関するアンケート調査(REM)の最新の結果(2025年11月調査)によると、12月は引き続き2%台となるものの、2026年1月からは1%台に下がり、鈍化が続くとされる。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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