アフリカ進出日系企業調査、投資環境の魅力は「市場の将来性」、課題は「規制などの整備、運用」が最多

(アフリカ、日本)

調査部中東アフリカ課

2025年12月23日

ジェトロは12月18日、「2025年度 海外進出日系企業実態調査(アフリカ編)」を発表した。アフリカ19カ国に拠点を有する日系企業274社を対象にオンラインによるアンケート調査を実施し、とりまとめたもの。18カ国216社から有効回答を得た(有効回答率78.8%)。

「アフリカに拠点を構えている理由」(複数回答可)は、アフリカ全体で「市場の将来性」の回答が前年同様に最多で81.4%、次いで「市場規模」が44.8%だった。所在国の「投資環境面の魅力」(複数回答可)では、アフリカ全体で「所在国の市場規模/成長性」が最多で約7割、次いで「周辺国の市場規模/成長性」が約4割となった。

「投資環境面の魅力」を国別にみると、モロッコとガーナで「安定した政治・社会情勢」の回答が7割を超え最多だった。ケニアとガーナでは、「言語・コミュニケーション上の障害の少なさ」や「駐在員の生活環境」が5割を超えた。

所在国の「投資環境面での課題」(複数回答可)では、アフリカ全体で「規制・法令の整備、運用」の回答が約6割で前年と同様に最多。「財政・金融・為替面」「不安定な政治・社会情勢」がいずれも5割超で続いた。国別にみると、南アフリカ共和国、ナイジェリア、モザンビークで「インフラの未整備」が6割を超えた。

専門職・管理職で人材確保状況が悪化傾向

現地の雇用環境に関しては「直近2年間の人材確保を巡る状況」について、アフリカ全体では「悪化」の割合が12.1%、「改善」が7.9%、「変化なし」が61.4%だった。国別にみると、エジプトで「改善」が23.3%と高かった。「人材確保の状況が悪化している職種」(複数回答可、注1)は、アフリカ全体で「専門職」の回答が80.8%(世界全体で63.7%)、「管理職」が53.8%(同48.1%)と高い傾向にあった。

「人材確保の状況が悪化している理由」(複数回答可)は、全ての職種で「賃金・待遇面などの要求水準の高まり」が7割超で最多。「人材の採用・定着に関する取り組み」(複数回答可)を聞く設問では、「給与面での待遇の改善」が56.4%で最多だった。2024年の年間離職率については、アフリカ全体で管理職の離職率が0%だった企業が約7割(世界全体で66.7%)、非管理職では約5割(同30.2%)で、世界全体と比較すると、離職率は低かった。

人権デューディリジェンス(人権DD、注2)の実施については、アフリカ全体で約7割の企業が実施中か、準備中もしくは検討中と回答した。「実施している」企業の割合は42.3%で、世界全体の割合(30.8%)を超えた。

(注1)「スタッフ・ワーカー」「専門職」「管理職」の3つの職種について調査を行った。

(注2)自社やサプライチェーンを通じて生じ得る人権への負の影響を特定、停止、防止、軽減し、救済するための継続的なプロセスのこと。

(久保田夏帆)

(アフリカ、日本)

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