2025年第3四半期GDP成長率は前期比0.4%と堅調

(オーストラリア)

シドニー発

2025年12月12日

オーストラリア統計局(ABS)は12月3日、2025年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率が前期比0.4%と発表した(注)(添付資料表1、表2参照)。2021年第4四半期から16四半期連続でプラス成長となった。また、前年同期比では2.1%成長した。ABSは、「当期の経済成長は堅調で、プラス成長率は新型コロナ終息後の四半期平均成長率と一致している」と説明した。

需要項目別でみると、国内総固定資本形成のうち民間部門の投資が前期比2.9%増で、2021年第1四半期以来の高い伸びとなった。データセンター向け投資の継続的な拡大が機械設備投資を引き上げ、7.6%増加した。民間住宅への投資は、住宅建設の増加と投資家の不動産売買の活発化で、1.8%増となった。公的部門の投資は、3四半期連続のマイナス成長から3%のプラス成長に転じた。公営企業による再生可能エネルギーや水道、通信、鉄道輸送プロジェクトへの投資拡大が寄与した。また、年金・金融サービス、電気や医療費など生活必需品・サービスの消費が増加したことで、民間最終消費支出は0.5%増となった。政府最終消費支出も増加し、0.8%増だった。国内全土の公立病院や学校制度の改善対策、メディケア給付制度や医薬品給付制度といった世帯向け社会保障制度への支出が牽引した。財貨・サービスの輸出は1%、財貨・サービスの輸入は1.5%増加した。データセンター設備などの資本財や燃料の輸入増加が影響した。

産業別でみると、建設業(前期比1.8%増)、不動産業(1.6%増)、運輸・郵便・倉庫業(1.6%増)、金融・保険業(1.6%増)などが成長に寄与した。一方、主要産業の鉱業は、前期の回復から一転し1.8%減だった。計画的メンテナンスや洪水被害からの継続的な復旧作業により、石油・ガス、鉄鉱石採掘全般で生産量が減少した。

連邦政府のジム・チャルマーズ財務相は、同日付のプレスリリースで、「民間および企業投資の力強い成長も要因して、当期は年間ベースで過去2年間のうちもっとも力強い成長を示した」と説明した一方で、多くの国民が依然として生活費高騰の圧力に直面していることも認めた。

(注)金額は全て季節調整済みの数字。

(ストーリー愛子)

(オーストラリア)

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