水素活用推進の鍵は地域分散型の水素エコシステム

(ドイツ)

ミュンヘン発

2025年12月15日

ドイツ南部バイエルン州のビュルツブルクで12月10日、バイエルン州とバーデン・ビュルテンベルク州が水素利活用の推進にあたってのベストプラクティスや課題を共有、議論する「2州水素ダイアログ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が開催された。ドイツ南部2州の水素事業者、自治体、水素産業推進機関などが参加する本ダイアログは2025年で4回目となり、約80人が参加した。

ビュルツブルクを中心とするバイエルン州北部と隣接するバーデン・ビュルテンベルク州北部は、工業が盛んで産業用ガスの消費が多く、水素のエネルギー源としての活用は地域産業にとって大きな関心事項であり、ドイツ連邦政府のインフラ整備や枠組み策定を待つのではなく、地域分散型で水素を製造、分配、消費するエコシステムが水素利活用普及の鍵である旨が強調された。

ダイアログでは、事業者による取り組みが紹介された。地域の水素ハブ形成プロジェクトに参加している産業用ガスや溶接技術などのGuttroffは、2023年のプロジェクト開始以降グリーン水素の製造に向け準備を進め、2026年に製造を開始し、地域の燃料電池や産業ガス利用企業などに供給を開始するという。また、BTX Energyは、各地に点在するバイオガス製造施設を、再生可能エネルギー法による固定価格買い取り制度の終了後に水素製造のエネルギー源として活用することに着目し、バイオ水素のデモ施設を建設している。

写真 ダイアログ会場の様子(ジェトロ撮影)

ダイアログ会場の様子(ジェトロ撮影)

両州では、トラックやバスなどの大型商用車への水素の活用に向けて実証プロジェクトや水素充填(じゅうてん)ステーション建設費用の補助などの支援策を講じてきた。バイエルン州は2025年12月3日、水素を燃料とする商用車の購入補助金制度を2026年に新たに導入すると発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。補助金総額は3,500万ユーロで、州内の事業者が重量3.5トン以下の小型商用車や3.5トン超12トン以下の中型商用車、12トン超の大型商用車を購入する場合、購入額の最大80%が補助される。

(鷲澤純)

(ドイツ)

ビジネス短信 5872bdcadb1547bc