中国が新たな対中南米政策を公表
(中国、中南米)
調査部米州課
2025年12月12日
中国政府は12月10日、今後の中南米政策をまとめた「ラテンアメリカ・カリブ諸国に対する政策文書」
を公開した。本政策文書は2008年に初版が、2016年に第2版が発表されており、今回は第3版となった。
今回の政策文書は3部構成となっている。第1部、第2部では中南米の世界的な位置付けやこれまでの両地域関係の概要が説明されており、第3部で具体的に中国が今後、中南米諸国に対して実施していこうとする協力事項が列挙されている。
第3部の協力事項は、「連帯」「開発」「文明」「平和」「人的交流」の5つのプログラムに大別される。「連帯プログラム」では、政府高官同士の交流を維持し、両地域間の共通の関心事項に関するコミュニケーションを強化していきたい意向が示されている。また、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)・中国フォーラムの枠組みを活用してさまざまな分野での協力を積極的に推進し、条件が整い次第CELAC加盟国と中国の首脳会議を開催したいとも述べられている。「開発プログラム」の中では、中南米諸国の「一帯一路」へのさらなる参加を呼びかけた。貿易・投資分野については、2国間貿易の潜在力をさらに掘り起こし、特産品、競争力のある商品、高付加価値や技術集約型製品の貿易を促進し、サービス貿易やデジタル貿易における協力を強化するとしている。自由貿易協定(FTA)やそのほかの貿易円滑化協定についても協議する。また、中南米諸国から中国国内で開催される展示会への参加を歓迎するとともに、中国企業が中南米で開催される展示会への参加を奨励および支援するとしている。エネルギー・資源分野としては、クリーンエネルギーや鉱物資源の環境負荷の少ない開発方法に関する協力の強化をはかり、農業協力分野では、共同で食糧安全保障を推進するとしている。インフラについては、交通、貿易物流、貯蔵施設、情報通信技術、エネルギー・電力、水利プロジェクト、住宅・都市建設などの伝統的な分野に加え、再生可能エネルギー、スマート交通、デジタルインフラ、スマートシティなどの新興分野においても協力の意向だ。
中国の蔡偉外務事務次官捕は今回の政策文書について、「中国が中南米諸国との関係を非常に重視していること、そして共通の発展を追求することに深くコミットしていることを示している」と述べた。
(佐藤輝美)
(中国、中南米)
ビジネス短信 586c58099ce17f19




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