国際ランキングに173大学が選出、教職員育成も強化へ
(フィリピン)
マニラ発
2025年12月24日
フィリピン高等教育委員会(CHED)は12月16日、世界的な大学ランキングに選出された国内の高等教育機関(HEIs)が173校に達したと発表した(注1)。これは2024年の95校から82.1%増と大幅に伸びた。同月10日に開催された「ICONS Awards 2025(アイコンズ・アワード2025)」において、173校のうちマリアノ・マルコス州立大学、フィリピン大学ディリマン校、デラサール大学セント・ベニルデ校などの主要校がCHEDによって表彰された。
また、CHEDは、「高等教育の資格の承認に関するアジア太平洋地域規約〔通称「東京規約」(注2)〕」の批准が重要と強調した。これにより、フィリピンの高等教育制度をアジア太平洋地域の基準と整合させる狙いがある。一方、CHEDのシャーリー・アグルピス委員長は、HEIsが改革を着実に進め、国際的な存在感を強化し、学習者に確かな成果をもたらす取り組みを続ける必要があると促した。
さらに、CHEDは、大学教職員を対象とした保健・医療教育における能力向上を目的とする短期奨学金プラグラムとして、フィリピン大学マニラ校(UP Manila)と共同で「ビーコン・プログラム(BEACON Program、注3)」を開始すると発表した。これは、高等教育機関で働く教職員を対象に、組織としての健全性、倫理、そして教育・研究活動における人工知能(AI)の適切な活用能力に関する能力向上、再教育を目的としている。特に、生物医学教育と教育法、生物医学研究・技術・倫理、AIを活用したバーチャルラーニングによる環境・労働衛生分野の実践に重点を置く。
本プログラムは、「フサイ(HUSAY:Higher Education Upskilling and Study for the Advancement of Staff and Faculty)」の枠組みに基づき実施され、総額8,043万ペソ(約2億1,716万円、1ペソ=約2.7円)の予算の下、教材費、宿泊費、交通費などについて包括的な支援が提供される。プロジェクト提案者のレノラ・フェルナンデス博士は声明で、「UP Manila は国立ヘルスサイエンスセンターとして、パラ・サ・バヤン(para sa bayan、国民のために)という理念の下、バイオメディカル分野における先進的かつ実務に資する教育課程の提供を継続する。本課程は、国内すべての高等教育機関に所属するフィリピン人教職員の技能向上および再教育を促進するものだ」と述べた。
本プログラムは2026年3~12月に応募を受け付ける予定で、全国の高等教育機関に所属する教員・非教員スタッフ・研究者など約2,300人が恩恵を受ける見込みだ。
(注1)タイムズ・ハイヤー・エデュケーションの世界・アジア・インパクトランキングなど複数の大学ランキングに掲載された延べ数。
(注2)アジア太平洋地域において、締約国間が相互に高等教育資格を承認・評定する仕組み。国際的な学生および研究者の流動性を促進することを目的とする。
(注3)「BEACON」とは、Bio-Health Education, Artificial Intelligence-Enabled, Capacity Building, Optimization, and Innovationの略。
(杉山咲)
(フィリピン)
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