モロッコ中央銀行、政策金利2.25%を据え置き
(モロッコ)
ラバト発
2025年12月25日
モロッコ国立アル・マグリブ銀行(BAM、中央銀行)は12月16日、2025年第4四半期理事会を開催し、政策金利を2.25%で据え置くことを決定した。
BAMは、国内外の経済環境を踏まえると「現在の政策金利水準は適切」と判断した。同時に、国際的な地政学的緊張の継続と、国内の気象状況などにより、依然として高い不確実性があることを踏まえ、今後も経済動向を注視し、最新データに基づき会合ごとに政策を決定するとした。
国際レベルでは、米国の関税政策の動向や地政学的緊張の継続を背景に、不確実性の高さを指摘。世界経済は減速基調で、インフレも短期的には鈍化するものの、2027年に再び上昇が見込まれるなど、先行きは地域によってばらつきがあると指摘した。
一方、国内経済では、非農業部門の好調さや労働市場の回復の兆候を指摘。中期的には投資の伸びが成長を下支えすると見込まれ、財政面でも2026年財政法案および2026~2028年3カ年財政計画により、財政再建と国庫債務の緩やかな改善が続くとした。
インフレ率は2025年1〜10月平均で0.8%と引き続き低水準で推移。これは、食品供給(特にオリーブオイル)の改善や燃料価格の下落によるものとしている。BAMは、今後インフレ率が2026年に1.3%、2027年に1.9%へ緩やかに上昇するとの見通しを示し、いずれも物価安定目標に沿った範囲と評価している。コアインフレ率も2025~2026年は0.7%で安定し、2027年に1.9%へ上昇する見込みとする。
また、インフレ期待は依然として落ち着いているとし、金融セクター専門家の調査では、今後8四半期の期待インフレ率は平均2.0%、12四半期は平均2.2%と見込まれている。
一方、BAMは、過去(2024年6月)の金融緩和の効果が「依然として部分的にとどまっている」と指摘し、政策金利〔75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下〕よりも非金融部門向け銀行貸出金利(58bp低下)の低下幅が小さい点に留意している。
これらの要因を考慮し、慎重な金融環境の見極めが必要として、今回の金利据え置き判断につながったとする。
同理事会ではこのほか、外貨準備管理戦略、2026年の銀行予算および内部監査計画を承認し、2026年の理事会開催日程(3月17日、6月23日、9月22日、12月15日)を決定した。
(鈴木優香)
(モロッコ)
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