対オーストリア投資、中・東欧から増加傾向
(オーストリア、スロバキア、チェコ、ハンガリー)
ウィーン発
2025年12月25日
スポーツ栄養・機能性食品、フィットネス用品などを販売するスロバキアのジムビームは12月3日、ウィーン中心部に、同社のDACH(ドイツ・オーストリア・スイスの略)統括本部を開設したと報じられた。さらに、2026年の初めには同地でオーストリア発の「ジムビーム・フィットネス・ハブ」が開業する予定だという。この拠点は顧客のための窓口、ショールーム、コミュニティーおよび相談スペースとして機能する。ジムビームはこれまで主にデジタルで展開していたが、物理的な拠点を設置し、重要な欧州都市でブランドの定着を強化する。
ジムビームの創設者・代表取締役(CEO)であるダリボール・チチマン氏は日刊紙「クリエ」(12月3日付)に対し、「ウィーンでのDACH統括本部設立は、わが社の拡大にとって重要な戦略的ステップだ」「ウィーンはDACH地域への進出のために最適な場所だ」と述べた。
ジムビームは、過去数年間における中・東欧からオーストリアへの投資事例の1つに過ぎない。2024年だけでも、オーストリア投資庁(ABA)が新たに誘致した外国企業309社のうち、64社が中・東欧からの企業だった。ABAの発表を基にした「クリエ」紙の記事によると、オーストリアには隣国のハンガリー、スロバキア、チェコの企業が多く進出しており、中・東欧地域はドイツ、米国に次ぐオーストリアへの第3の投資元国・地域となっている。
ABAの中・東欧担当者であるビアギット・ライター=ブラウンウィーザー氏は「クリエ」(12月3日付)に対し、「中・東欧企業は競争力を高め、同地域で国際化に成功したのち、西欧への進出を進めている。その第一歩として、オーストリアにDACH地域の統括拠点を設立する企業が少なくない」と述べた。ウィーンの地理的近接性に加え、他国と比べて東欧言語の知識を持つ人材が多いことや、文化的な近さなどがオーストリアの利点として挙げられる。またオーストリアは、賃金コストは高いものの、購買力のある市場や安全性、安定性、計画性といった「ソフト要因」で優位性があるという。
またウィーン比較経済研究所(WIIW)でオーストリアと中・東欧諸国との経済関係を担当するドリス・ハンツル=ワイス氏も、オーストリアからの対中・東欧直接投資は圧倒的に多い一方で、オーストリア国立銀行の調査によれば、近年では同地域からの対オーストリア投資も顕著に増加しているとしている(添付資料図1、2参照)。
対オーストリア投資を業種別にみると、チェコとスロバキアからは半分以上が金融業(それぞれ57.5%、57.2%)である一方、ハンガリーとポーランドからは製造業の投資が最も多い(38.7%、47.9%)(添付資料の図3参照)。
(エッカート・デアシュミット)
(オーストリア、スロバキア、チェコ、ハンガリー)
ビジネス短信 4bd981b52191da11




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