OHCHR、「ビジネスと人権ヘルプデスク」を開設

(世界、日本、スイス)

調査部欧州課

2025年12月10日

OHCHR(国連人権高等弁務官事務所)は11月24日、「ビジネスと人権に関するヘルプデスク」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開設し、スイス・ジュネーブでローンチイベントを開催した。国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」の解釈と実施方法について、OHCHRの専門家が実践的な個別のガイダンスを、無償で提供する。企業、政府、市民社会、権利保有者(ライツホルダー)、研究者など、全てのステークホルダーが利用可能だ。相談内容に関する機密は保持される。

ローンチイベントで、OHCHRのペギー・ヒックス氏は、EUの企業持続可能性デューディリジェンス指令(CSDDD)をはじめ、人権尊重に関する企業の責任を規定する法規制が世界各国で進み、さまざまなステークホルダーからの企業に対する期待が高まる一方、「業界や地域をまたぎ、誤った解釈や不整合のリスクも増大している」と指摘。不変の国際基準としてのUNGPsの影響力が高まる中、「UNGPsへの一貫した理解と適用を確保し、効果的な実践に移すために、誰もがアクセスできる、明確で権威あるガイダンスに対する需要が高まっている」とヘルプデスク開設の理由を説明した。

また、関連する取り組み間の連携のためのプラットフォームとしても機能し、ジュネーブ本部で対応が難しい場合は、ネットワークを活用し適切な窓口を案内する。現在対応している言語は英語のみだが、今後、地域ハブの設置や多言語対応などサービスの拡大を目指す。

なお、同ヘルプデスクは、個別の事例に対する苦情処理メカニズムとしての機能には対応していない。また個別の企業の人権方針や人権DDの実践がUNGPsに準拠していることを認証することや、人権方針の草案作成、他の規制に関する法的助言などのコンサルティングは行わないが、「UNGPsに照らして不足している点を助言することは想定される」と説明した。

11月25日に行われた日本企業向け説明会で、OHCHRの担当者は、「多くの日本企業にも利用してほしい」と呼びかけた。同ヘルプデスクへの問い合わせは、OHCHR-BHR-Helpdesk@un.org外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますへのメールによって可能だ。問い合わせ方法の詳細は、OHCHRウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(川嶋康子、冨岡亜矢子)

(世界、日本、スイス)

ビジネス短信 4af7554c9472e128