米シカゴ連銀経済報告、10月から11月前半の経済活動はわずかに増加
(米国)
シカゴ発
2025年12月04日
米国連邦準備制度理事会(FRB)が11月26日に公表した地区連銀経済報告
(ベージュブック、注1)の中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、10月か11月前半にかけての同地域の経済活動について、報告期間中わずかに(slightly)増加したと報告した。一方、関係者は、今後1年間は経済活動のわずかな減少を予想している。
同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用はわずかに増加した。関係者は、今後1年間は同様のペースでの増加が続くと見込んでいる。関係者の多くは、離職率の低下、欠勤率の減少、採用の容易化など、人手不足感が弱まることによる労働市場の状況の軟化を報告した。賃金と福利厚生費は全体として控えめに上昇した。多くの関係者は、保険契約の更新後の健康保険の見積もりが著しく高くなったと報告した。
個人消費は、わずかに増加した。自動車を除く消費者支出は小幅に増加した。関係者は、高所得層向け部門や小売店舗は引き続き堅調な成長を維持していると指摘した。新車販売は減少し、特に連邦税額控除終了後の電気自動車(EV)の販売が落ち込んだ。
企業支出はわずかに増加した。設備投資はわずかに増加し、関係者らは今後1年間の支出増加を見込んでいる。経済開発機関の関係者は、企業が特に自動化分野で設備投資を拡大しているものの、それに伴う雇用増加は見られないケースが多いと指摘した。銀行関係者は、設備投資は増加しているものの、企業は依然として慎重姿勢を保ち、新規設備購入よりも部品交換を選択する傾向が強いと述べた。
製造業の活動はわずかに増加した。金属加工品の受注は自動車・防衛分野の成長に支えられ控えめに増加した。機械販売はわずかに増加し、ある関係者は今後1年間で需要が同様のペースで増加すると予想した。自動車生産は横ばい(flat)だった。
2025年の地区内での農業所得の見通しは、農産物価格の上昇に伴いわずかに改善した。トウモロコシと大豆の収穫は地区の大半で順調に進んだが、乾燥状態が一部地域で収量に影響を与えた。大豆価格は、中国による購入再開を含む国際的な買い手の増加に伴い上昇した。トウモロコシと小麦価格も上昇した。
個々の調査対象項目ごとの詳細は添付資料表参照。
(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告やビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。
(注2)アイオワ州、イリノイ州北部、インディアナ州北部、ウィスコンシン州南部、ミシガン州南部。
(星野香織)
(米国)
ビジネス短信 44aee44f97f63546




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