ベルギーのホテル学校で「非ロイン系」日本産和牛のカッティング講義を実施

(ベルギー、EU)

ブリュッセル発

2025年12月24日

ジェトロは12月8~9日、ベルギー南部のナミュール州立ホテル学校(注)で、日本産の和牛・コメに関する知識普及のための座学と、和牛のカッティング講義を実施した。日本の全国食肉学校の佐俣宏紀講師が「非ロイン系」の「かたロース」にあるザブトン(チャック・フラップ)、かたロース芯(しん)(チャック・アイ・ログ)などのカッティング技術の講義を行った。非ロイン系部位は、サーロインなどのロイン系より安価で、各部位の特性を生かせばメニューの幅も広がる。試食では、すき焼きや和牛寿司(すし)に日本産米を用いて、日本産米ならではの特徴や食文化を説明した。講義参加者はカッティングを体験し、2日間で約75人が参加した。

写真 参加者は熱心に講義に耳を傾けた(ジェトロ撮影)

参加者は熱心に講義に耳を傾けた(ジェトロ撮影)

日本からEUへの牛肉輸出量は順調に伸びており、2024年は前年比36.5%増の629トンに達した。さらに、2025年(1~10月)は前年同期比で約3割増と引き続き拡大傾向だ(添付資料表参照)。部位別では、2025年(1~10月)についてロイン系が全体の75.6%と依然として多いが、非ロイン系は前年同期比で5.5ポイント増の24.4%と増加の兆しが見られた(添付資料図参照)。非ロイン系が今後のEUにおける和牛市場拡大のカギとされる中、今回のカッティング講義は、直近2024年のEU向け牛肉輸出額約60億円のうち8億円を占めるベルギーの成長市場において、さらなる販売拡大に向けた重要な足掛かりの1つとなりそうだ。

参加者からは、「部位の特徴を理解することで、地元の料理にも取り入れることができそう」との声が聞かれたほか、「ベルギーやフランス産の牛肉と比べて、口に含んだときの味わいや、かまずに溶ける食感が唯一無二だ」と好評だった。

写真 和牛カッティングの実演(ジェトロ撮影)

和牛カッティングの実演(ジェトロ撮影)

写真 和牛とコメの展示(ジェトロ撮影)

和牛とコメの展示(ジェトロ撮影)

(注)ホテル・レストランなど食関連のサービス業界に特化したナミュール州立専門学校。レストラン格付け誌「ミシュランガイド」で星付きに選ばれたレストランのシェフを多く輩出している。

(大河原楓、鈴木由美子)

(ベルギー、EU)

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