ENEOSや日本郵船など4社、ヒューストン近郊での船舶向け低炭素メタノール燃料供給網構築の共同研究を開始
(米国、日本)
ヒューストン発
2025年12月23日
ENEOS、日本郵船、米国の船級協会であるアメリカン・ビューロー・オブ・シッピング(本社:テキサス州スプリング、以下ABS)および米国内外において海上輸送などを行うシーコア・ホールディングス(本社:フロリダ州マイアミ)は12月12日、ヒューストン近郊における船舶向け低炭素メタノール燃料の供給、サプライチェーン構築に向けた共同研究を開始
したことを発表した。4社は、米国で商業規模として初となる2船間移送(Ship-To-Ship)によるメタノール燃料の供給(バンカリング)事業の確立を目指す。
国際海運分野から排出される二酸化炭素(CO2)は全世界のCO2排出の約2%を占めており、国際海事機関(IMO)は2050年ごろまでに国際海運からの温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロの目標を掲げている。現在、船舶用燃料として利用されている重油から、よりCO2を排出しない燃料への転換が求められており、再生可能エネルギー由来やバイオ由来の低炭素メタノールは、常温常圧で液体のため利便性が高いという特徴を持ち、GHG削減に資する次世代舶用燃料として注目されている。
ENEOSはこの共同研究で、出資先のC2X(本社:デンマークコペンハーゲン、注)による、米国ルイジアナ州でのグリーンメタノールの生産プロジェクト(ビーバー・レイク再生可能エネルギープロジェクト)からの低炭素メタノールの調達および海運会社への供給を目指す。同プロジェクトは、ガス化システムによりバイオマスをメタノールに変換し、変換プロセスで発生するCO2を恒久的に隔離する。2026年後半の着工を目指しており、プロジェクトが稼働すると、年間50万トン以上のグリーンメタノールの生産が可能となる。
日本郵船は共同研究において、代替燃料のバンカリング分野で培った経験を生かし、陸上設備、船上設備に関する専門的知見を提供する。ABSは、米国でメタノールバンカリング事業を行う上での安全面および規制面の支援を行う。シーコア・ホールディングスは、長年にわたる米国沿岸および内陸水路での経験に基づく専門的知見に加え、設計、エンジニアリング、建造に関する知見を提供する。
(注)デンマークの海運大手APモラー・マースクも、同社へ出資を行う。
(深石晃)
(米国、日本)
ビジネス短信 3605f773a061a898




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