ブレーメンで欧州最大級の宇宙産業展「Space Tech Expo Europe」開催、出展950社超に拡大

(ドイツ)

ベルリン発

2025年12月02日

ドイツ北部ブレーメンで11月18日から20日まで、欧州最大級の宇宙産業展示会「Space Tech Expo Europe」が開催された。2025年で10周年を迎えた同展示会は、初回の2015年は約100社の出展規模だったが、今回は950社超に拡大。来場者は1万人超で、欧州最大級のBtoB宇宙イベントに成長した。

本展示会は、打ち上げ、衛星運用、通信、地上システムや、材料・部品、ソフトウエアなど欧州の宇宙サプライチェーン全体を網羅し、宇宙関連の最新技術の発掘やパートナーシップの構築などの場となっている。BtoBマッチメイキングにより1対1の商談が事前予約可能で、前回2024年では来場者の約95%が新たなビジネスの人脈形成に成功したとされる。2024年はネットワーキングを目的とする参加者は87%に上り、展示会が具体的なビジネス成果を生む場として定着していることがうかがえる。また今回、展示会場内の特設ステージでは80を超えるセミナーやパネルディスカッションが開催された。公共放送ZDFは11月20日、欧州と米国の宇宙産業における競争と協力の両面を取り上げ、本展示会は欧州が対等なパートナーとして発展していくための議論の場となっている、と報じた。

写真 会場内に設置されたB2Bマッチメイキングの商談スペース(ジェトロ撮影)

会場内に設置されたB2Bマッチメイキングの商談スペース(ジェトロ撮影)

開催地ブレーメンは、OHBやエアバスをはじめとする約140の企業と20の研究機関が集積する航空宇宙クラスターを形成し、ドイツ有数の航空宇宙産業拠点である。同クラスターは、約1万2,000人の雇用と、年間40億ユーロ以上の収益をあげている。展示会場では、地元ブレーメン州のブースをはじめ、OHB、ドイツ航空宇宙センター(DLR)、フラウンホーファー研究機構などが大型ブースを設けたほか、欧州宇宙機関(ESA)は支援するスタートアップによるピッチをブース内で実施するなど、ドイツや欧州の宇宙産業の中核企業・研究機関が最新技術や研究成果を紹介した。

写真 ブレーメンに本社を置くOHBのブース(左)とフラウンホーファー研究機構のブース(右)(ジェトロ撮影)

ブレーメンに本社を置くOHBのブース(左)とフラウンホーファー研究機構のブース(右)(ジェトロ撮影)

日本からは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などがブースを出展した。JAXAの丸岡新吾氏はパネルディスカッションにも登壇し、JAXAは宇宙戦略基金を通じて日本の宇宙関連企業を支援していることなどを紹介。また、日本企業は地上で培った技術や経験を宇宙に応用できる強みを持っており、こうした強みを欧州企業との連携に生かしたいと語った。また、北海道に本社を置く民間宇宙輸送のリーディング企業のインターステラテクノロジズも出展し、同社の取り組みについてセミナーで発表した。

次回のSpace Tech Expo Europeは、2026年11月17~19日に開催予定。

(中山裕貴)

(ドイツ)

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