インドネシア、SNDCを通じたコミットメントを表明、石炭火力廃止には暗雲も
(インドネシア、ブラジル)
ジャカルタ発
2025年12月02日
国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の首脳会合(サミット)が、11月6日から7日にかけてブラジル・ベレンで開催された。インドネシアからは、プラボウォ・スビアント大統領の実弟で、インドネシア大統領特使(気候・エネルギー担当)を務めるハシム・ジョジョハディクスモ氏が出席した。
ハシム大統領特使は演説で、「インドネシアはベレンに、単なる傍観者ではなく推進役として来た」と強調した。そのうえで、公正で持続可能、かつ国民に利益をもたらすエネルギー移行を確実にするための政策やパートナーシップ、そして測定可能な目標をインドネシアは有していると述べた。
会合後のプレスリリース
で、インドネシアは2025年10月27日に国連に提出した「第2次国が決定する貢献(SNDC)」で、2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量を2022年比で最大17.5%削減し、国際的なコミットメントを強化すると表明した。また、具体策として次を掲げた。
- 2019年以降の年間森林減少率を75%削減
- 劣化した土地や泥炭地95万ヘクタールの回復
- 再生可能エネルギー比率を2030年までに23%引き上げ
- 2023年以降、新規石炭火力発電所への投資停止
- 老朽化した石炭火力発電所の廃止を加速
- 日本との相互認証取り決め(MRA)で炭素取引(カーボン・クレジット)市場を通じた年間最大77億ドルの投資促進
一方、インドネシアは、議長国ブラジルが合意文書「ムチラオ決定」で提案した、化石燃料の段階的廃止に向けた行程表(ロードマップ)策定に反対の立場を示した。ハニフ・ファイソル・ヌロフィック環境・管理庁長官は11月25日のプレスリリース
で、パリ協定の実施には象徴的な表明ではなく、具体的な国際支援が必要であるとした。そのうえで、「途上国がコミットメントを現場での行動につなげられるよう、補助金による資金提供、技術移転、公平なメカニズムを求める」と強調した。
石炭火力発電所の廃止の動きに暗雲も
また、国内政策の動向が、インドネシアの掲げる野心的な公約の足かせとなる可能性も指摘されている。11月25日付「ジャカルタ・ポスト」によれば、インドネシア政府は新たな石炭火力発電所の建設の禁止を定めた2022年の大統領令の改正に関する公開協議において、「エネルギー系統の信頼性と独立」を理由に、新たな石炭火力発電所建設を認める追加的な免除規定案を提示した。
(大滝泰史)
(インドネシア、ブラジル)
ビジネス短信 3120e25aa16b1b25




閉じる
