新エネ車輸送船舶の新基準適合のため初めて認証を取得した自動車運搬船が山東省で完工
(中国)
青島発
2025年12月02日
海上コンテナや造船設備などの大手製造企業の中国国際海運コンテナ集団(CIMC)傘下の中集来福士海洋工程(中集来福士)は11月14日、山東省煙台市の龍口建造基地で、液化天然ガス(LNG)デュアルフューエル(注1)自動車運搬船「NOCC PACIFIC」の命名式を行った。中集来福士によると、同船舶は世界初の新エネルギー車輸送の国際新基準に適合するための認証を取得した自動車運搬船となった。
同船舶は、中集来福士がノルウェーの船主ノルウェー・カー・キャリアーズ(NOCC)向けに建造した初の自動車運搬船で、全長199.9メートル、型幅38メートル、設計喫水8.6メートル、設計航行速度19ノット、積載量7,000台となっている。2基のC型LNGタンクとデュアルフューエルエンジンを搭載し、港湾作業時は二酸化炭素(CO2)のゼロエミッションが可能となる。
世界の新エネルギー車海上輸送量の急増に伴う新たな安全上の課題に対応するため、国際海事機関(IMO)は各船級協会(注2)に対して専用の安全基準の策定を要請し、2026年1月から同基準を強制実施する予定となっている。こうした背景の下で、同船舶はノルウェー船級協会(DNV)より、電気自動車を輸送する船舶向けに追加の安全要件を満たしたことを示す船級符号を取得した世界初の船舶となった。また、将来のアンモニア燃料への転換に備えて、スペースやインフラなどを事前に確保している(注3)。
近年、中集来福士の龍口建造基地は世界有数の自動車運搬船建造基地となっており、同社は、スウェーデンのWallenius Lines、ギリシャのAtlas Maritime、モナコのZodiac Groupなどと相次いで自動車運搬船建造契約を締結している。
(注1)2種類の燃料を併用すること。
(注2)船舶の安全性証明などを行う機関。
(注3)当該船舶は、ノルウェー船級協会の「アンモニア対応」を取得している。アンモニア対応(Ammonia Ready)とは、設計段階で将来のアンモニア燃料使用に向けた改造を可能とする空間とインフラをあらかじめ確保した船舶を指す。
(董玥涵)
(中国)
ビジネス短信 30b839a021660881




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