中国工業情報化部、「自動車ドアハンドル安全技術要求」など7項目の強制国家標準案を策定

(中国)

調査部中国北アジア課

2025年12月25日

中国工業情報化部は12月16日、国家標準化管理委員会による強制国家標準(注1)の制定・改定計画に基づき、「自動車ドアハンドル安全技術要求」など7項目の強制国家標準(承認案、注2)および「電気自動車安全要求」強制国家標準外国語版(承認案)の策定作業を完了したと発表した。そして、より幅広い層の意見を聴取するため、本標準の承認案および策定に関する説明を公示し、異議がある場合は、公示期間中(12月17~23日)にメールで意見表を提出するよう呼びかけていた。今回の承認案策定にあたっては、2025年9月24日から11月22日までの期間で「自動車ドアハンドル安全技術要求」に関する強制国家標準および関連する3件〔次の(5)(6)(7)〕の改定案を公開し、意見募集が行われていた(注3)。

発表された強制国家標準の7項目は次のとおり。(1)自動車ドアハンドル安全技術要求、(2)爆発性環境における設備の防爆技術規範、(3)圧延設備の安全技術条件、(4)回転電動機安全技術規範、(5)「自動車ソフトウェア更新に関する一般技術要求」強制国家標準第1号改正案、(6)「自動車車両情報セキュリティー技術要求」強制国家標準第1号改正案、(7)「自動車正面衝突時の乗員保護」強制国家標準第1号改正案。

「自動車ドアハンドル安全技術要求」に関して、説明では策定の背景として「近年、自動車の電動化・スマート化の急速な発展に伴い、格納式ドアハンドルがその独特な形状などから広く採用されている。ドアハンドル製品が多様化する一方で、例えば車両の電源喪失により電動内外ドアハンドルが正常に作動しない、ドアハンドルが識別しにくい、緊急時にドアを開けにくいなど、実際の使用過程において次第に多くの安全問題が顕在化している」ことを挙げた。また国家標準策定について、乗員の安全な避難と救助支援を強化し、事故による死傷者削減と道路交通安全の向上に重大な意義を持つとした。

ジェトロが11月24~29日に、在中国日系自動車メーカーや部品メーカー複数社にヒアリングを行ったところ、中国自動車の海外進出が加速している状況や、シャオミ(小米)の電気自動車(EV)「SU7」の事故(注4)などを受け、今後、中国における自動車の安全基準についてより厳しくなっていく、との見方が複数聞かれた。今後も、このような中国自動車の安全性強化に向けた動向が注目される。

(注1)強制国家標準は、人身の健康および生命、財産の安全、国家安全、生態環境の安全、経済・社会の管理の基本的な需要を満たすために制定され、対象の製品やサービスなどに強制的に適用される国家標準を指す。

(注2)意見募集稿(草案)で広く意見を集めた後、その意見を整理・要約し、検討・処理し審査案がまとめられる。その後、その技術内容や編纂内容に対して、関係部門関係者を交えた審査などが行われる。最終的には承認案が主管部門に提出され、承認された後に強制国家標準として公布される。

(注3)「爆発性環境における設備の防爆技術規範」「圧延設備の安全技術条件」「回転電動機安全技術規範」については、それぞれ2023年4~8月、2023年6~9月、2022年1~3月の期間で意見募集が行われていた。

(注4)2025年3月29日、中国安徽省の高速道路で、シャオミのEV「SU7」がガードレールに衝突して炎上し、乗車していた大学生3人が死亡する交通事故が発生した。また10月13日には、四川省成都市で「SU7」が追突事故後に炎上し、車内に取り残された運転手が死亡する事故が発生した。

(和田拓己)

(中国)

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