RCEP協定に基づくシンガポールと中国間の原産地データシステムの利用開始
(シンガポール、中国)
シンガポール発
2025年12月15日
シンガポール税関は12月5日、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に基づく特恵原産地証明書(PCO)を活用して中国から輸入する、または中国へ輸出するシンガポール企業は、12月11日からPCOの受領および提出に原産地データシステム(EODES)を利用できると発表した(12月5日付シンガポール税関発表資料
)。12月11日に、ジェトロが現地物流関係者に確認したところ、予定どおり稼働している。
EODESは2019年11月1日から運用が開始し、中国・ASEAN自由貿易協定(ACFTA)および中国・シンガポール自由貿易協定(CSFTA)に基づく、PCOおよび非加工証明書(CNM)について、シンガポール税関と中国税関総署(GACC)間で電子的に提出すること可能になっている。ただし、RCEP協定税率の適用のための原産地証明書「Form RCEP」については、電子化の運用がされておらず、準備が整い次第、シンガポール税関のウェブサイトで詳細が公表されることになっていた(2024年11月21日記事参照)。
GACCは、2020年5月から電子原産地証明書(ePCO)の電子送信を義務づけており、企業は特恵関税を活用する際、ePCOを利用しなければならない。
ePCO提出にあたって、中国向け輸出に関する貿易申請オンラインTradeNetでの申告手続きは従来どおり。TradeNetでPCOが承認された後の手順は次のとおり(注1)。
a.輸出者またはその認可申告代理人は、次のプロセスで承認済みPCOを取得することができる:Networked Trade Platform(NTP)にアクセスし、「Government Services」「Electric Preferential Certificate of Origin transmitted to The People’s Republic of China」「Outbound Enquiry」へと順に項目を経て、「Submit SG PCO」で申請する。
b.必要あれば承認済みPCOに必要な修正を加える。
c.中国へePCOを提出する。
中国向け輸出の場合と同様に、12月11日から、中国からシンガポールへの輸入品に対する特恵待遇の適用を希望する輸入業者、またはRCEP協定に基づくバック・トゥ・バックPCOの発給を申請する輸入業者も、ePCOを次の手順により取得できるようになる。
a.NTPにアクセスし、「Government Services」「Electric Preferential Certificate of Origin transmitted to The People’s Republic of China」「Inbound Enquiry」へと順に項目を経て、「Electronic Preferential Certificate of Origin」で申請する。
シンガポールの輸入業者は、中国から取得したePCOを使って、シンガポールへの輸入品に対する特恵待遇の適用を申請できる(注2)。申請は、ePCO参照番号、輸入許可証番号、商業送り状、船荷証券/航空運送状を添付の上、シンガポール税関(customs_pref_doc@customs.gov.sg)宛てに電子メールで提出する。また、中国で発給されたePCOを用いて、RCEP協定に基づくバック・トゥ・バックPCOを申請することも可能だ。
(注1)電子送信の詳細な手順については、税関ウェブサイトの原産地規則セクションにある「Handbook on Transmission and Receipt of Electronic Preferential Certificate of Origin to and from China in Networked Trade Platform(NTP)’s International Connectivity Service(ICS)
」を参照。
(注2)詳細はシンガポール税関の「よくあるご質問(FREQUENTLY ASKED QUESTIONS)
」を参照。
(島田幸一郎)
(シンガポール、中国)
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