チリの年金政策をOECDが評価、所得代替率がOECD平均に近い水準に上昇
(チリ)
サンティアゴ発
2025年12月03日
OECDは、11月27日に公表した報告書「図表で見る年金2025年版」で、チリが実施した抜本的な年金改革を高く評価した。年金制度改革(2025年2月10日記事参照)により、平均所得労働者の純所得代替率は男性61.3%、女性61.1%と、OECD平均(男性63.2%、女性62.4%)に接近した(添付資料図参照)。ランキング(男性)は2021年の34位から2023年に28位、今回19位へと急上昇した(添付資料表参照)。
今回の年金制度改革の柱は、ユニバーサル保証年金(PGU)の拡充と義務的拠出率の引き上げだった。雇用主拠出率は2033年までに1.5%から8.5%へ増加し、総拠出率はOECD平均を上回る見込み。これにより、将来の確定拠出型年金の増額と再分配機能の強化が図られる。低所得者向け給付はOECD平均を上回り、女性や高齢者への追加措置も導入された。
一方、人口高齢化と出生率低下により、今後40年間でチリの生産年齢人口は23%減少する見通しで、OECD平均の13%減を大きく上回る予測だ。報告書は、チリが退職年齢の引き上げを法制化しておらず、OECD諸国の中で少数派に属すると指摘している。
(橋爪優太)
(チリ)
ビジネス短信 25d2b2a51e521996




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