ルーマニアの極限レーザー核物理研究所、高出力光学センター起工式を開催
(ルーマニア、日本)
ブカレスト発
2025年12月17日
ブカレスト南西の研究都市マグレレに位置する極限レーザー核物理研究所(ELI-NP)で12月3日、日・ルーマニアの共同プロジェクトである高出力光学センター(Center for High Power Optics:COMP)の起工式が開催された。式典にはルーマニア政府関係者、ELI-NP所長、駐ルーマニア日本大使、大阪大学レーザー科学研究所所長、日本の光学メーカー、オカモトオプティクスの社長らが出席した。大阪大学、オカモトオプティクス、ELI-NPが共同で研究開発を行うCOMPがルーマニアにおける光学技術の高度化、および日・ルーマニアの両国による研究協力の一層の強化につながる重要な基盤となる点が強調された。
高出力光学センター(COMP)起工式の様子(ジェトロ撮影)
COMPは、2023年日・ルーマニア両国首脳立ち会いのもと締結された協力覚書を起点として準備が進められてきたプロジェクトで、約2年の調整期間を経て着工が実現した。なお、資金については開発・公共事業・行政省が所管し、国家投資会社(CNI)が運営を行う。新施設には高出力レーザー向け光学コンポーネントの製造・再仕上げに必要な設備が整備され、ELI-NPのみならず国際的な高出力レーザー施設における光学部品の供給・更新にも寄与することが見込まれる。また、国内生産によりコストと製造時間が削減され、摩耗した光学部品の効率的な交換が容易になることで、研究活動の柔軟性向上が期待されている。
式典でミルチャ・アブルデアン上院議長は「ELI-NPの拡張は欧州委員会の戦略プロジェクトであり、欧州研究インフラ戦略フォーラムおよび国家のロードマップに含まれている重要なプロジェクトだ」と強調した。チェケ・アティラ開発・公共事業・行政相は、「ルーマニアが世界有数の高出力レーザーを有する中、経済的な観点から、国内で高出力光学部品の提供と運用の効率化に必要な技術開発を行い、最先端の知識を広げる実験を行うための拠点が必要だった。COMPにおいて日本のパートナーと協力することで新たな研究機会を創出することができる」と述べた。
片江学巳・駐ルーマニア日本大使は、COMPが日・ルーマニア間の科学技術協力において極めて重要な位置付けにあると述べ、これを契機に人的交流やビジネス交流がさらに進展するとの期待を示した。
式典の最後には、建設開始を象徴するセレモニーが行われ、関係者が署名した記念文書が地中に収められた。
(太田響子、ミルナ・ブルガ)
(ルーマニア、日本)
ビジネス短信 23cb315ea5e66797




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