湖北省養老サービス条例が可決、年間10~15日の介護休暇付与を提唱
(中国)
武漢発
2025年12月18日
中国湖北省第14期人民代表大会常務委員会第21回会議で11月27日、「湖北省養老サービス条例
」が可決された。2026年3月1日から施行される。高齢化に積極的に対応し、「在宅を基礎に、社区(コミュニティ)をよりどころに、介護施設が補う(注1)」高齢者サービスの提供に向け、体制を最適化するものとして位置づけられている。
介護サービスの供給体制に関して、新しく建設される都市居住区には、100世帯当たり20平方メートル以上の基準で高齢者サービス施設を整備し、比較的に集中配置して利便性を確保し、かつ高齢者サービス需要を十分に満たせる施設面積を確保するとした。また、介護施設サービスに関しては、長期介護ニーズを満たすために、専門サービス機関の設立または介護施設内における専用区域の設置を奨励・支援し、認知症高齢者に対する専門的なサービスを提供するとした。社区(コミュニティー)介護については、高齢者サービス施設が社区介護サービスを運営することを支援し、在宅高齢者に対し食事や入浴介助などのサービスを提供する。また、同施設が社区衛生サービス施設と共同で、認知症高齢者や術後リハビリテーションが必要な高齢者などに対し、短期宿泊型の介護サービスを提供することを支援する。在宅介護については、高齢者の介護は在宅を基本とするとの方針が示され、県級以上(注2)の政府が在宅介護を支援するための保障措置を講じることとされた。また、要介護または入院中の高齢者を介護する扶養者に対しては、雇用主が年間累計10日以上の介護休暇を付与すべきとする(注3)。
介護保険に関しては、省政府は長期介護保険、社会福祉、社会救助が連携した長期介護保障制度の構築を推進し、保険機関による長期介護保険の整備を支援する。県級以上の人民政府や関連部門は、長期介護保険制度の実施を推進し、条件を満たす身体能力が低下した状態の高齢者を対象に基本的な生活ケアと関連する医療サービスを提供する。また、県級以上の政府は、福利彩票(福祉目的の宝くじ)の公益金の留保分55%以上を高齢者サービスの発展に充てるべきものとする。
湖北省では、2024年末時点で60歳以上の人口が1,444万人に達し、総人口の24.8%を占め、2030年ごろには同割合が30%を突破すると予想されている。
(注1)中国の地方政府は高齢者サービスの整備を計画する際、在宅介護に比重を置いて設定することが多く、例えば上海市では2005年、介護サービスの対象になる高齢者のうち90%が在宅で、7%が社区で、3%が施設でそれぞれサービスを受ける「9073モデル」を提唱した。他の地方政府も、「9073」または「9064」を数値目標に、サービス提供体制を計画することが多い。詳細は2025年1月7日付地域・分析レポートを参照。
(注2)中国の行政区分は、省級、地級、県級、郷級の4つの階層で構成される。県域は、行政単位である県の管轄区域内の総称。
(注3)一人っ子の場合は累計15日以上。なお、介護期間は出勤扱いとなり、賃金・福利厚生を受ける権利を有する。
(廣田瑞生)
(中国)
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