チリ大統領選、決選投票で右派カスト氏が当選
(チリ)
サンティアゴ発
2025年12月16日
チリで12月14日、大統領選挙の決選投票が実施され、右派・共和党のホセ・アントニオ・カスト氏が左派・共産党のジャネット・ハラ氏を破り、当選した。選挙管理委員会によると、開票率99.9%時点でカスト氏は得票率58.1%、約725万票を獲得し、ハラ氏は41.8%、約522万票にとどまった。総投票数は約1,342万票で、義務投票制導入後初の大統領選挙の決選投票となり、史上最多の投票数を記録した。全ての州において、カスト氏が勝利した。
カスト氏は、勝利演説で「チリが勝利した」と強調し、法の支配回復と治安強化を最優先課題に掲げた。国家も法に従うべきと述べ、左派、右派分断の克服と協調を呼びかけたほか、「政治に奇跡ではなく、エネルギーを求めよ」と国民に訴えた。カスト氏は不法移民対策および犯罪抑止策を最重要項目に掲げ、経済自由化および税制改革や投資促進を通じた成長戦略を志向している。
海外からは、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が「中南米の自由を守る一歩」と祝意を表明し、米国もチリと治安改善や貿易促進での協力を期待する声明を発表した。ペルー、エクアドル、パラグアイなどもチリとの関係強化を表明した一方、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領はSNSで「右傾化ファシズムの前進」とカスト氏を批判した。
カスト氏は1966年サンティアゴ生まれの弁護士で、2002~2018年に下院議員を務め、2019年に共和党を創設。保守的価値観を軸に、治安・家族政策を重視する姿勢で知られる。
(橋爪優太)
(チリ)
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