トランプ米大統領、各州のAI関連規制の管理に向けた大統領令を発令
(米国)
ニューヨーク発
2025年12月16日
米国のドナルド・トランプ大統領は12月11日、連邦政府の人工知能(AI)政策と対立する各州政府のAI関連規則の管理に向けて、関係閣僚に作業部会の設置などを指示する大統領令を発令
した。
大統領令では、米国がAI技術開発競争をリードするために、米国のAI企業が煩雑な規制に拘束されない事業環境が必要との連邦政府のAI政策を説明した。一方で、各州政府のパッチワーク状に乱立した規則が企業にコンプライアンス上の負担を生じさせていることや、カリフォルニア州(注)やコロラド州をはじめとして「左派的イデオロギー」に基づく規則の策定が検討されていることなどを問題視し、連邦政府の政策と対立する規制を禁止するための措置を関係閣僚に指示した。
具体的には、連邦政府の政策と対立する各州の規制の特定を商務長官に指示するとともに、特定された各州の規制を提訴する「AI訴訟作業部会」の設立を司法長官に指示した。また、過剰な規制を制定する州に対して連邦政府の情報通信ネットワーク構築の助成プログラムの提供を停止する措置を商務長官に指示した。
さらに、連邦政府の政策と対立する各州の規制を撤廃する制度の確立に向けた立法勧告の作成を大統領補佐官(科学技術政策担当)およびAI・暗号資産担当特別補佐官に指示し、将来的な連邦議会による立法措置にも期待を示した。
今回の大統領令について、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は、起業家・投資家で現在はAI・暗号資産担当特別補佐官を務めるデビッド・サックス氏が政策を主導したと指摘した上で、サックス氏ら側近に利益を提供するものだと述べ、政策決定プロセスの不透明さを非難した。また、ニュージャージー州のマイキー・シェリル次期知事(民主党、2025年11月6日記事参照)は、「トランプ氏はビッグテック企業幹部たちにこびるために国民を裏切っている」と批判した(米国政治専門紙「ポリティコ」12月11日)。
(注)カリフォルニア州のAI関連規制は2025年10月3日記事、2025年10月27日記事参照。
(葛西泰介)
(米国)
ビジネス短信 18c4c38750b589a3




閉じる
