モロッコ、エジプト産ポリ塩化ビニルに最大92%のアンチダンピング関税を決定

(エジプト、モロッコ)

ラバト発

2025年12月18日

モロッコ産業・貿易省は11月24日、エジプト産ポリ塩化ビニル(PVC)輸入に関するアンチダンピング調査の最終結果を公表し、同輸入品に対するアンチダンピング関税の適用を決定した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

同省は2024年11月27日の公示を通じて、エジプト産PVC輸入に関するアンチダンピング調査を開始しており、2025年6月6日以降、産業・貿易相と経済・財政相の共同政令に基づき、エジプト産PVC輸入品には暫定的なアンチダンピング関税が適用されていた。本公示は、調査の最終決定の結果を発表するものだ。

対象製品は、エジプト原産のPVC樹脂(塩化ビニルモノマーから製造)で、関税分類(HSコード)は39.04.10.90.00に該当する。

2025年11月21日に開催された輸入監視委員会の意見を踏まえ、次の最終関税が適用される。

  • Egyptian Petrochemicals Company(EPC)::74.87%
  • その他エジプト輸出業者:92.19%

この税率は、調査に協力した唯一の輸出業者 Egyptian Petrochemicals Company(EPC) の回答に基づき、通常価格は国内販売価格(工場渡し)で決定し、輸出価格はモロッコの購入者への実際の請求価格で算定。その他の輸出業者については、入手可能な最良の情報に基づいて決定されたとしている。

調査結果によると、エジプト産PVC輸入量は、調査期間中に絶対値においても、モロッコ国内生産量・消費量と比較しても顕著に増加した。その結果、輸入品は国内生産PVC価格に大きな影響を与えた。その価格を下落させ、値上げを阻止し、利益率を悪化させた。併せて、国内生産業者に対し、市場シェアの喪失、投資収益率の急落、収益性の継続的悪化などを及ぼし、経済・財務指標も著しく悪化させたとする。以上から、国内生産業者は重大な損害を被り、エジプト産ダンピング輸入に対して脆弱(ぜいじゃく)であると認定された。

同省は、輸入量の増加と国内産業の悪化との相関分析により、エジプト産ダンピング輸入が国内産業に重大な損害を与えた主要原因であると結論付け、その他要因の影響は直接的・重大ではないことも確認したとしている。

モロッコでPVCを生産しているのは、事実上SNEP(Société Nationale d’Électrolyse et de Pétrochimie)1社のみ。同社は生産量を維持しているものの、輸入品に対してはモロッコは今までもメキシコやEU、米国などに対してアンチダンピング関税を課しており、これらの関税についても再調査や見直し、延長などを行っている。

(鈴木優香)

(エジプト、モロッコ)

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