重慶市、2025年中国産業移転発展マッチングイベントを開催

(中国)

成都発

2025年12月05日

中国工業情報化部と重慶市政府は11月24~26日、重慶市で「2025年中国産業移転発展マッチングイベント」を共催した。同イベントでは、重慶市が推進する「33618」現代製造業クラスター(注1)を中心とした、インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)および新エネルギー車(NEV)、次世代電子情報製造、先進材料、人工知能(AI)などの重点領域の産業に焦点を当てた。

同イベントに先駆けて、重慶市政府は11月13日に記者会見を開催した。会見で、重慶市政府の全偉副秘書長は「産業移転の受け入れにおいて、重慶市の優位性は主として『堅実的な産業基盤』『高いイノベーション力』『優れた地理的条件』という3つの側面に集約される」と述べた。また、全副秘書長はICVを例に取り上げ、重慶市には長安汽車、セレス、千里科技(注2)などの大手自動車完成車メーカーを中心として、部品の3大システムといわれる電池システム、駆動システム、制御システム、12分野の主要モジュール、56種類の部品といった企業が集積し、強固なサプライチェーンが形成されているとし、関連企業は重慶市への進出によって、サプライヤー、顧客、パートナーを迅速に発掘することが可能だと強調した。

また同秘書長は、物流面において、重慶市は長江経済圏と「一帯一路」構想の結節点に位置し、西部地域で唯一、鉄道、道路、水運、航空輸送によるマルチモーダル輸送の条件を備えた都市であるとした。南に向けては西部陸海新通路(注3)を経由して東南アジアと接続し、東に向けては長江を利用して長江デルタとの江海連携輸送が実現されている。西と北に向けては重慶市を出発地として中欧班列で欧州まで到達できる。

重慶市経済情報化委員会の共産党委員会幹部である王含氏は、同イベント内で「重慶市のNEV生産台数は2020年の4万3,000台から2024年には95万3,000台へと急速に伸び、20倍以上に拡大した」と紹介。また、「『33618』現代製造業クラスターの牽引プロジェクトとして、重慶市は19社の自動車完成車メーカーおよび約1,200社の自動車部品メーカーの産業集積を形成した」とアピールした(「重慶日報」11月26日)。

会見で、重慶市経済情報委員会の涂興永副主任は「重慶市は2023年に初めて本イベントを開催して以来、製造業分野における投資誘致プロジェクトを2,917件締結し、契約総額は1兆1,587億元(約25兆4,914億円、1元=約22円)に達した」と明らかにした。そのうえで、「これらの産業移転プロジェクトは、主に重慶市が重点的に推進するICVなど3つの1兆元規模の産業クラスターおよびスマート設備・製造領域に集中しており、契約総額の78.4%を占めている。また、全体の81%のプロジェクトが広東省、江蘇省、浙江省、上海市などの東部沿海地域からの移転案件となっている」とした。

なお、今回の本イベントを通した契約件数は159件、契約金額は1,000億元超と発表された(「重慶日報」11月26日)。

(注1)重慶市政府は2023年6月5日に開催した「製造業の質の高い発展を推進する大会」において、「33618」現代製造業クラスター政策を打ち出した。同政策では、ICV、次世代電子情報製造業、先進材料を3つの主導産業クラスターとして構築するとしたほか、スマート設備・製造、食品・農産品加工、ソフトウエア情報サービスの3つの支柱産業クラスターの高度化、新型ディスプレー、バイオ・医薬など6つの特色・優位性産業クラスターのイノベーション推進、衛星インターネット、バイオ製造など18の「新星」産業クラスターの育成を推進するとした。

(注2)2025年2月に「力帆科技」から「千里科技」に社名を変更。

(注3)主要ルートは、重慶市から貴州省、広西チワン族自治区を経由して、東南アジアへ至るルートと、重慶市から雲南省を経由して、東南アジアへ至るルートがある。その他、重慶市から湖南省を経由するルートや、成都市を起点とするルートもある。

(曾小桐)

(中国)

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