愛知県の発酵食文化を世界に発信、海外バイヤーを招聘し商談会開催

(日本、世界)

名古屋発

2025年12月22日

ジェトロは122日、海外8カ国から9社の有力食品バイヤーを招聘(しょうへい)し、海外展開に取り組む愛知、三重、静岡、岐阜の東海4県事業者との商談会を名古屋市内で開催した。調味料、飲料(茶や酒類)、菓子などを扱う事業者46社が参加し、延べ63件の商談を実施した。

招聘バイヤーはブラジル、エクアドル、フィンランド、オーストラリア、中国、ベトナム、タイ、インドネシアと幅広い地域から参加しており、商談に参加した企業からは、「普段、接点のない国のバイヤーと商談が実施できた」「これまで輸出していなかった地域との取引が始まる見込み」など、手応えを感じるとの声が多く上がった。

写真 商談会の様子(ジェトロ撮影)

商談会の様子(ジェトロ撮影)

商談会の前日には、招聘バイヤーに愛知の発酵食文化の理解を深めてもらう狙いから、県内企業2社を訪問。訪問先の日東醸造(豊田市足助町)では白醤油(しょうゆ)、まるや八丁味噌(岡崎市八丁町)では八丁味噌(みそ)について、それぞれの発酵食品の特徴や料理への活用方法など、試食を交えて紹介したほか、醸造蔵など製造現場の見学も行った。バイヤーからは、「企業文化や醸造方法など、普段では得られない情報を近くで見て、感じて、商品の良さについて一層理解を深めることができた」など、商品の持つストーリーやブランドを知る貴重な体験が、自国の消費者への魅力訴求に役立つといった声が聞かれた。

愛知県は製造品出荷額などが47年連続全国1位と、自動車産業を中心とした工業県のイメージが先行するが、農業産出額(2023年)は全国8位、食料品の製造品出荷額(2024年)は全国3位と、隠れた食品王国でもある。手羽先や味噌カツなどの名古屋めしに代表される、発酵食品を用いた食文化は、急増する外国人観光客にとって欠かせない観光資源となるだけでなく、「帰国しても食べたい」という海外でのニーズを創出し、輸出につながる好循環を生み出す鍵となる。海外における日本食文化の定着が進む今、愛知県、そして東海地域ブランドの海外市場への普及が期待される。

写真 日東醸造で同社商品「しろたまり」の説明を受けるバイヤー(ジェトロ撮影)

日東醸造で同社商品「しろたまり」の説明を受けるバイヤー(ジェトロ撮影)

写真 まるや八丁味噌で味噌蔵を見学(ジェトロ撮影)

まるや八丁味噌で味噌蔵を見学(ジェトロ撮影)

(安部暢人)

(日本、世界)

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