南アフリカ共和国がアフリカの石炭需要を牽引、IEA報告

(南アフリカ共和国、イスラエル)

ヨハネスブルク発

2025年12月26日

国際エネルギー機関(IEA)は12月17日、世界の石炭需要の見通しなどをまとめた「石炭2025」報告書を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、南アフリカ共和国がアフリカ大陸の石炭需要を牽引すると言及した。

南アはアフリカ大陸の石炭利用の大部分を占め、かつ国内での石炭火力発電用の需要が大きいと見られる。電力公社エスコム(Eskom)は長期的にクリーンエネルギーへの移行を目指しているが、資金不足などにより、当面の間、石炭がピーク需要を満たすために中心的な役割を果たす見込みだ。

南アの石炭需要は2025年に約1億6,400万トンに達し、2030年までこの水準を維持すると予測される。アフリカ大陸全体の石炭需要は、2025年には約1億9,600万トンに達し、2030年までに約2億200万トンへ増加すると見込まれており、その需要の大半を南アが牽引することとなる。

また、南アは石炭の輸出にも積極的で、各種報道によれば、2025年9月以降、イスラエル向けの輸出も増加させているという。ガザ情勢をめぐり、コロンビアと南アは厳しくイスラエルを批判しているが、イスラエルへの主要な石炭供給国であるコロンビアが2025年8月にガザ情勢を踏まえてイスラエルへの石炭輸出を全面禁止したのに対して、南アは石炭輸出を増加させた。南アからイスラエルへの石炭輸出を調査しているヨハネスブルク大学のパトリック・ボンド教授は、「この状況を説明する言葉は『左を語り、右を歩く』」だと述べた、との報道もある。

南ア歳入庁のデータでは、イスラエル向け石炭輸出が2025年8~10月期に前年同期比で約20%増の66万7,442トンとなった。報道によれば、3カ月間としては2017年2月以来の最高水準という。

(橋本泰宏、トラスト・ムブトゥンガイ)

(南アフリカ共和国、イスラエル)

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