シンガポール、炭素クレジットで各国と連携加速

(シンガポール、エチオピア、タイ、マラウイ、ブラジル)

シンガポール発

2025年12月04日

シンガポールは11月24日、エチオピアとカーボンクレジット(炭素クレジット)協力に関する覚書(MOU)に署名した。署名式は、ローレンス・ウォン首相兼財務相のエチオピア公式訪問(同月23~25日)に合わせて行われた。両国は、パリ協定第6条に沿った炭素クレジットの創出や国際移転などに関する協力を模索する。

シンガポールは2024年1月から、炭素税の課税対象企業が課税対象の排出量の最大5%と相殺できる「国際カーボンクレジット(ICC)フレームワーク外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の適用を開始した(注1)。これまでに、ブータン、チリ、ガーナ、モンゴル、パラグアイ、パプアニューギニア、ペルー、ルワンダ、タイ、ベトナムと、それぞれパリ協定第6条に基づく、炭素クレジット協力に関する2国間実施協定に署名している。

また、シンガポールは、ブラジル北東部ベレン市で2025年11月10~22日に開催された国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の開催中に、2国間実施協定を締結した国々と、プロジェクトの公募開始などを相次いで発表した。シンガポールとブータンは同月20日、同協定に基づくブータンでのプロジェクトの公募を開始。さらに、シンガポールとマラウイは同日、パリ協定第6条に基づく協力に関するMOUに署名した。このほか、シンガポールとタイは同月18日に、8月19日に署名した炭素クレジット協力の実施協定に基づく適格プロジェクトリストを公表した

グレース・フー環境持続相は11月17日のCOP30閣僚級会合で、シンガポールが10カ国とパリ協定第6条に基づく炭素クレジット協力の実施協定を締結している、と演説した。その上で、「ガーナ、パラグアイ、ペルーのプロジェクトから自然由来のカーボンクレジット200万トンを調達することを約束している」と言及した。シンガポール、ケニア、英国は6月に、「カーボンクレジットの需要活性化のための政府連合」の発足を発表している(注2)。

(注1)シンガポールの炭素税は、2024年から二酸化炭素(CO2)換算排出量1トン当たり25シンガポール・ドル(約3,000円、Sドル、1Sドル=約120円)で、2026~2027年に45Sドル、2030年までには50~80Sドルまで引き上げられる予定。

(注2)「カーボンクレジットの需要活性化のための政府連合」には、カナダ、フランス、ケニア、パナマ、ペルー、シンガポール、スイス、英国、ニュージーランド、ザンビアがメンバーとして加盟。

(本田智津絵)

(シンガポール、エチオピア、タイ、マラウイ、ブラジル)

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