オランダ政府、物品供給法に基づくネクスペリア管理措置を一時停止

(オランダ、中国、世界)

アムステルダム発

2025年11月25日

オランダ政府は11月19日、オランダ東部に本社を置く半導体企業ネクスペリア(注)への物品供給法に基づく命令を一時停止する措置を講じると発表した。

オランダ政府は9月30日、ネクスペリアにおける深刻な懸念に対応し、物品供給法を発動していた。これにより、ネクスペリアは政府の監督下に置かれるものとなった。この法は国家の安全保障や経済安全保障に関わる重要物資(半導体など)の供給を確保するため、企業に対して特別措置を講じる権限を政府に与えるもので、企業の通常の生産活動は継続可能だが、重要な意思決定は政府の監督下に置かれる。政府の発表によれば、懸念とされるのは、現在職務停止中の最高経営責任者(CEO)に帰せられる行為に起因するもので、製品資産、資金、技術、知識を外国企業へ不正に移転したことが問題視され、これらの行為は、同社、その株主、ならびにオランダおよび欧州の戦略的自律性と供給安全保障の利益に反するものだったとした。これに対し、中国政府はネクスペリアの中国拠点に対して輸出規制を課していた。

サプライチェーンの混乱を受けてオランダ政府は、欧州および国際的なパートナーと緊密に協議した上で、物品供給法に基づく命令を一時停止する措置を講じた。また、中国当局との話し合いを行い、中国政府がすでに講じているネクスペリアの中国拠点からの輸出再開を確保する措置についても前向きに受け止めているとした。

ネクスペリアは、低コスト・大量生産品の半導体を主に製造し、年間で1,100億個の製品を供給するなど、世界最大規模の半導体メーカーだ。車載用では、電源制御回路やステアリング、ブレーキ制御モジュールほか多くの製品があり、また電子機器用としても、ダイオード、トランジスタ、AC/DCコンバータなど多くの製品を供給している。

なお、オランダ政府は今後も中国当局との対話を継続するとした。

(注)中国の「聞泰科技(Wingtech Technology)」の傘下。

(奥井浩平)

(オランダ、中国、世界)

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