2024年のスタートアップ投資金額は33.4億ドル、グリーンエネルギー、ヘルスケアが2大分野
(台湾)
調査部中国北アジア課
2025年11月12日
台湾経済研究院は、「2025年台湾スタートアップ投資動向年報」を9月1日に発表したのに続いて、10月21日に同年報のヘルスケア編、11月5日にはグリーンエネルギー編を公開した。年報によると、2024年の台湾でのスタートアップへの投資件数は605件、金額は前年比4.5%増の33億4,300万ドルと過去最高を記録した。業種別では、グリーンエネルギーとヘルスケアへの投資が多く、グリーンエネルギー関連投資額は11億1,150万ドル(シェア33.2%)、ヘルスケア関連投資額は7億4,700万ドル(同22.3%)だった。経済部が2025年5月に発表した「スタートアップ企業白書2024」によると、2024年末時点の台湾のスタートアップ数は9,397社に達している。
グリーンエネルギー分野への投資を金額順にみると、1位は蓄電(6億7,377万ドル)、2位は太陽光(2億8,993万ドル)、3位は風力(1億3,030万ドル)だった。
企業別の獲得投資額上位3社は次のとおり。
- 仲昱電業〔シリーズA(注1)〕:蓄電分野で1億8,070万ドルを調達。主力製品は電力貯蔵システムで、主要投資者は仲信資融股份。
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世紀樺欣風能
(シリーズB):風力発電分野で9,470万ドルを調達。主力製品は洋上風力発電の基礎構造物で、主要投資者は鉄鋼大手の世紀鋼鉄結構と金属加工の台欣工業。 -
亜福儲能
(シード):蓄電分野で8,680万ドルを調達。主力製品はアルミニウム電池。
ヘルスケア分野への投資を金額順にみると、1位は医薬品(5億300万ドル)、2位は医療器材(1億2,800万ドル)、3位はデジタル医療(7,800万ドル)だった。
企業別の獲得投資額上位3社は次のとおり。
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全心医薬生技術
(シリーズB):医薬品分野で2億2,500万ドルを調達。主力製品は免疫チェックポイント(注2)強化剤の開発。 -
永笙
(投資ラウンド非公表):医薬品分野で3,720万ドルを調達。主力製品は臍帯血(さいたいけつ)細胞の保存と細胞治療。 -
雲象科技
(シリーズB):デジタル医療分野で2,360万ドルを調達。主力製品は病理画像の人工知能(AI)補助診断システム。
(注1)投資家が企業に投資する段階で、シードステージから今後の成長が見込まれる段階の最初の本格的投資ラウンドを「シリーズA」とし、追加出資の都度、「B」「C」とアルファベット順で表現される。
(注2)免疫システムには、免疫応答を活性化するアクセル(共刺激分子)と、抑制するブレーキ(共抑制分子)が存在する。後者は「免疫チェックポイント(immune checkpoint)」として機能し、自己の細胞や組織への不適切な免疫応答や過剰な炎症反応を抑制する。
(江田真由美)
(台湾)
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