ジェトロなどがバングラデシュ視察団派遣、人材・市場の可能性を探る

(バングラデシュ、日本)

大阪本部ビジネス情報課

2025年11月28日

大阪商工会議所とジェトロは11914日、バングラデシュに視察団を派遣した。同国は製造拠点としての競争力、豊富なIT人材、人口17,000万人超を背景とする市場規模と成長性により、注目を集めている。今回の視察には日本企業・現地日系企業8社が参加し、投資環境の把握、現地人材の日本での雇用の可能性、国内市場の成長余地などを確認した。

視察団が特に関心を寄せたのは、バングラデシュ人材だ。国立ダッカ大学現代言語研究所日本言語文化学科や日本語教育機関を訪問し、日本語教育の現状を把握した。同国では日本語能力試験の受験者が増加する一方、ビジネスレベルの習得は容易ではないとの指摘があり、人材を受け入れる日本企業による支援の必要性が共有された。

写真 ダッカ大学日本言語文化学科の校舎(大阪商工会議所提供)

ダッカ大学日本言語文化学科の校舎(大阪商工会議所提供)

バングラデシュと日本の合弁企業のIT大手BJITでは、オフショア開発に加え、IT人材の育成・紹介や日本語教育にも取り組んでおり、現地IT人材の活用に関する具体的なモデルを確認した。バングラデシュのエンジニアは英語力が高く、アプリ開発や人工知能(AI)など先端分野への適応が早いと評価されている。参加企業からは、「雇用のイメージが明確になった。積極的に受け入れを検討したい」との声が聞かれた。

視察団は製造拠点としての可能性を知るため、バングラデシュ投資開発庁(BIDA)や住友商事が開発・運営し日本とバングラデシュの両政府が支援するバングラデシュ経済特区(BSEZ)、バングラデシュ輸出加工区庁(BEPZA)、ダッカ近郊のアダムジー輸出加工区などを訪問した。アダムジー輸出加工区に入居する日系企業との意見交換では、「バングラデシュには十分な教育機会に恵まれない人もいるが、業務習熟が進むにつれて集中力が向上し、生産効率も高まる」とのコメントがあった。

さらに、国内市場の成長余地を確認するため、視察団はヤマハ発動機の二輪車の組立・販売事業などを展開する大手財閥グループのACIモーターズや、大型小売店などを訪問した。参加企業からは「上位中間層が急速に拡大し、バングラデシュの購買力が向上していることが実感できた」との声が上がり、日バ両国間のビジネス拡大に対する期待が一段と高まった。

(上野由加里、原悠伸)

(バングラデシュ、日本)

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