中国RoHS関連規程の対象リスト改正、意見募集を開始

(中国)

北京発

2025年11月06日

中国の工業情報化部は11月3日、「電器電子製品有害物質制限使用基準到達管理目録」(以下、管理目録)と「基準達成管理目録使用制限物質適用例外リスト」(以下、例外リスト)それぞれの2025年版の意見募集稿外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。意見募集の期限は2025年12月2日まで。その後、2027年8月1日までに施行する予定としている。

工業情報化部などが2018年3月に公布した「電器電子製品有害物質使用制限基準到達管理目録(第1回)」では、12種類の製品(注1)が管理対象として掲載され、製品の情況に合わせて例外リストも発表されていた。今回の意見募集では、管理目録の対象製品が12種類から33種類(注2)に拡大され、例外リストの水銀などの免除条件を更新するなどの変更がなされた。拡大対象製品の選定に当たっては、日常生活で使用される頻度が高いもの、技術発展に伴い急速に進化したものや製品交替の頻度が高いもの、消費者の安全や健康への関心が高いものを新たに追加したとしている。

中国における電器電子製品の化学物質管理規則(いわゆる「中国版RoHS」)は、電器電子製品廃棄後の環境汚染の抑制・低減、グリーン生産および資源総合利用の促進、グリーン商品の奨励ならびに環境と人の健康を保護することを目的としている。工業情報化部や国家発展改革委員会など8部門が2016年に公布した、「電器電子製品有害物質制限使用管理弁法」(以下、管理弁法)に基づき実施されている。中国国内で生産や販売、輸入された電器電子製品(注3)に国家が指定する有害物質が使用されている場合に管理対象となる。なお、2026年1月1日に発効が予定されている関連の推奨性国家標準(GB/T26572-2011第1改正号)では、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)の4種のフタル酸エステルが使用制限物質に追加された。

管理弁法では、生産、輸入した電器電子製品における有害物質の含有量および環境保護使用期限を表示することを定めている(注4)。また、管理目録に記載された製品(例外リストに記載の製品を除く)は、電器電子製品有害物質使用制限合格評定制度に基づき、製品の供給者は「任意認証」または「自己宣言」のいずれかの方式により、電器電子製品の有害物質使用制限の合格評定を完了しなければならないとされている。

工業情報化部によると、今後はより多くの新種の電器電子製品を対象に有害物質の評価を行い、段階的に管理目録に組み入れ、管理範囲を拡大し、管理水準を向上させる予定としている。

(注1)「電器電子製品有害物質使用制限基準到達管理目録(第1回)」の対象製品は、冷蔵庫、エアコン、洗濯機、電気温水器、プリンター、複写機、ファクス、テレビ、モニター、マイクロパソコン、モバイル通信携帯電話、電話機の12種。

(注2)意見募集稿の管理目録に追加された製品は、産業用洗濯機、空気清浄機、ウォーターサーバー、食器洗い機、電気オーブン、電子レンジ、炊飯器、掃除機、掃除ロボット、家庭用ガス急速給湯機、プロジェクター、スマートスピーカー、電子スマートロック、サーバー、ルーター、スマートウォッチ・リング、イヤホン、モバイルバッテリー、読書用デスクライト、電気電子玩具、電子血圧計、血糖測定器、補聴器。従来から対象となっていたプリンター、複写機およびファックスはプリンター・スキャナー・ファクスおよび複合機として1つの項目にまとめられ、第1回目録の対象製品12種は10種のカウントとなった。

(注3)電器電子製品とは、電流または電磁界に依存する機器、または電流および電磁界を発生、伝導、測定するための機器を指し、定格動作電圧が直流1,500ボルト、交流1,000ボルトを超えない機器および付属品としている。

(注4)電器電子製品における有害物質の含有量および環境保護使用期限表示は、2025年4月1日施行のSJ/T11364-2024「電子電気製品有害物質制限使用標識要求」と2026年1月1日施行予定の「GB/T2657-2011電子電気製品の制限物資の制限値に関する要求」第1改正号に従うこととされている。なお、2027年8月1日以降はGB/T26572およびSJ/T 11364を統合・改定した強制国家標準「電気電子製品有害物質制限使用要求」(GB 26572-2025)に従うこととされている。

(鄭慧)

(中国)

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