在バングラデシュ縫製輸出業者、上限撤廃で全原材料の輸入が無税に
(バングラデシュ)
ダッカ発
2025年11月10日
バングラデシュ首席顧問府は11月5日、2週間以内に商業省が輸入政策令を改正し、縫製輸出業者が無税で全ての原材料を調達できるようにすると明らかにした。現在の規則では、輸入原材料の50%が免税の対象になっているが、輸入政策令が改正されると、上限は撤廃され、縫製関連の輸出入がさらに活発化すると予想される。バングラデシュ縫製品製造業・輸出業協会(BGMEA)のムハンマド・シェハブ・ウドゥザ・チョードゥリー副会長はメディアの取材に応じ、「縫製品の輸出額は、上限が撤廃された初年度に50億ドル、翌年には100億ドル追加的に増加するだろう」との見方を示した(「デーリー・スター」紙11月5日)。
バングラデシュの2024/2025年度(2024年7月~2025年6月)の品目別輸出額によると、衣類および衣類付属品(HSコードの61類と62類)が同国の輸出額全体の81.5%を占める一方(2025年7月14日記事参照)、原材料の大半は輸入に頼っている。チョードゥリー副会長によると、2022/2023年度にバングラデシュの縫製工場で使用された人造繊維のうち約96%が輸入されており、国内で調達された割合は約4%に過ぎなかったという。このため、今回の動きは縫製業界の関係者から歓迎されている。他方、糸や生地の生産者で構成されるバングラデシュ繊維工場協会(BTMA)は「バングラデシュ産の紡績糸、織物、付属品への需要を減らし、数十年にわたって築き上げてきた下流産業との連携が損なわれる恐れがある」と警告しており、立場によって意見が分かれている。
商業省のムハンマド・アブドゥル・ラヒム・カーン次官補は、「輸出額と輸出量の両方を増やすため、政府は全ての輸出志向型産業を支援したいと考えている。保税倉庫などの施設の充実が縫製産業の成長に寄与しており、(今回の動きによって)ほかの産業も恩恵を受けるだろう。政府は規制の緩和を通じて、事業者を支援していく」と語った(「デーリー・スター」紙11月5日)。
(片岡一生)
(バングラデシュ)
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