瀋陽市、「瀋北新区バイオ医薬イノベーション育成基地」を建設へ、核医薬などの開発・生産を推進
(中国)
大連発
2025年11月19日
中国・遼寧省瀋陽市瀋北新区政府の発表によると、同区政府と瀋陽産業技術研究院(注1)は11月12日、「瀋北新区バイオ医薬イノベーション育成基地」(以下、基地)の共同建設契約を締結した。同基地は政府、大学、病院、ファンド、企業が一体化したイノベーション複合体として、今後5年間で核医薬(注2)、ワクチン、植え込み型医療機器(ペースメーカーなど)、デジタル医療の4大分野に焦点を当て、「技術開発~成果実用化~産業インキュベーション~資金面の支援」の全プロセスに及ぶイノベーション・エコシステムを構築することを目指している。
同基地の建設計画によると、瀋北新区は資金および施設などを提供し、瀋陽産業技術研究院は研究開発推進、産業調査と発展戦略策定などを担当するとしている。双方は3年以内に瀋北新区において中核技術を有する成長性の高い企業を6社育成することを目標にしている。また、資金面の支援関連では、瀋北新区と瀋陽産業技術研究院が「瀋北バイオ医薬育成ファンド」を共同で設立することを計画している。基金の総額は2億元(約42億円、1元=約21円)で、初期出資額は5,000万元以上を予定している。主な適用対象は中核技術を有し、明確な産業化へのステップと高い成長ポテンシャルを備えたバイオ医薬企業で、核医薬の研究開発、ハイエンド医療機器、デジタル医療プラットフォーム、多分野を融合したイノベーションなどのプロジェクトを優先的に支援する。
瀋北新区は瀋陽市にある9つの主要行政区の1つで、常住人口は約74万人、管轄面積は819平方キロメートルとなっている。同区の主要産業には食品、航空宇宙(関連開発・生産拠点は約120社)などがある。同区は今回の医薬基地の建設によって、同市に所在するIT大手企業、東軟集団(NEUSOFT)の医療機器分野における研究開発・製造力、ならびに中国医科大学、瀋陽薬科大学などの高等教育機関が持つ先端バイオ医薬分野の研究の優位性を生かしつつ、今回、瀋陽市産業技術研究院が瀋陽善為正子医薬技術と共同で設立した「瀋陽盛科創新核薬研究所」の核医薬開発・生産能力も利用して、産学官と応用の一体化発展を推進していくとしている。
(注1)2020年末に設立された公的機関で、主に応用技術研究や、技術パイロット試験プラットフォームの構築などを行う。
(注2)微量の放射性同位元素(ラジオアイソトープ)を含む「放射性医薬品」を使い、病気の診断や治療を行う医療分野。
(李穎)
(中国)
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