ギニアビサウで軍がクーデター、エンバロ大統領を解任
(ギニアビサウ)
アビジャン発
2025年11月28日
ギニアビサウで11月26日、大統領選挙の結果発表を前に軍がクーデターを実行し、ウマロ・シソコ・エンバロ大統領を解任・拘束した。軍は国営テレビを通じて、「麻薬取引、政治腐敗、そしてギニアビサウ社会の腐敗と闘う」ため、国の安全と公共秩序の回復を理由に、国の全権力を掌握したと発表した。オルタ・エンタ将軍が暫定大統領への就任を宣言した。国境と領空は閉鎖され、夜間外出禁止令が敷かれている。
11月23日に実施された大統領選挙は65%以上の暫定投票率を記録し、平穏に行われたと報告されていた。27日に予定されていた公式の結果発表を前に、今回のクーデターが発生した。また、大統領選と同時に議会選挙も実施されていた。前回の議会は2023年12月にエンバロ大統領によって解散されており、エンバロ大統領は議会を通さず大統領令による統治を続けていた。
選挙後、エンバロ陣営と対立候補フェルナンド・ディアス陣営の双方が勝利を主張した。一方で、主要野党PAIGCのドミンゴス・シモエス・ペレイラ党首は、書類提出の遅れを理由に最高裁から立候補を拒否されていた。
現地メディアのジュヌ・アフリックによれば、エンバロ大統領に加えビアゲ・ナ・ンタ軍参謀総長、ママドゥ・トゥーレ副参謀総長、ボチェ・カンデ内務相など複数の高官も一緒に拘束されている。エンバロ大統領はクーデター発生時、コンゴ共和国のドゥニ・サス・ンゲソ大統領に状況を伝える電話をかけたとされる。エンバロ大統領は現地メディアに対して「自分は解任された」と伝え、26日正午ごろに軍服姿の兵士が大統領府に侵入したと証言したが、暴力はなかった、と伝えている。エンバロ大統領はその後、セネガルへ亡命したことがセネガル政府から発表されている。
首都ビサウでは銃声が報告され、大統領府周辺は軍により封鎖された。ギニアビサウには、選挙前と選挙後の安全確保のために、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の安定化部隊を含む6,700人以上の治安要員が配備されていた。
ギニアビサウは1974年の独立以来、政治危機に繰り返し見舞われてきた。過去には4回のクーデターと多数の未遂が発生している。2019年の前回大統領選でも、エンバロ陣営と野党・ペレイラ陣営の双方が勝利を主張し、半年以上にわたる選挙後の混乱に発展した。
(安藤佳耶)
(ギニアビサウ)
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