タイの第3四半期GDP成長率は前年同期比1.2%、前期より鈍化

(タイ)

バンコク

2025年11月25日

タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)は11月17日、2025年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率が前年同期比1.2%(前期2.8%)と減速、前期比はマイナス0.6%(前期0.5%)だったと公表した。

生産項目別で成長率をみると、農業が主要作物の生産減少により、前年同期比1.9%(前期6.4%)と減速し、非農業でも1.2%(2.5%)に成長が鈍化した。非農業のうち工業部門は、製造業の減少などにより、マイナス1.0%(0.8%)と悪化し、サービス部門は、宿泊・飲食サービス、運輸・倉庫、金融保険、医療・福祉関連活動の成長鈍化により、2.3%(3.4%)と減速した。

需要項目別で成長率をみると、内需では、民間消費支出が前年同期比2.6%となり、前期(2.6%)と同水準となった。これは、食料品や非アルコール飲料が拡大したことにより、非耐久財への支出が増加した一方、旅行客の減少によるサービス支出の減速したことが影響した。また、政府消費支出はマイナス3.9%と、前期(2.2%)から悪化した。一方、総固定資本形成は1.1%と、前期(5.8%)から鈍化した。政府部門の投資がマイナス5.3%と、政府の建設投資減少を反映し、前期(10.1%)から反落した。民間部門の投資支出は、建設の改善により、4.2%と前期(4.1%)から成長が継続した。

外需では、財・サービス輸入は、原材料や中間財が加速したものの、消費財や資本財の輸入減少により、前年同期比4.6%と前期(10.9%)から減速した。また、財・サービス輸出も6.9%で、前期(11.2%)から鈍化した。財輸出は、米などの農産品の輸出が減少したものの、コンピュータ、コンピュータ部品、集積回路が世界的需要を背景に支えた。一方、サービス輸出は、外国人旅行客数の減少に伴い悪化した。

また、NESDCは2025年の実質GDP成長率を、2024年の2.5%から2.0%に減速すると予測し、2026年については、1.2~2.2%(中間値1.7%)を予測した。政府の消費刺激策や観光産業の回復、農産品の増加による民間消費と民間投資の内需拡大を見込んだ一方、米国の関税政策、世界経済の減速、家計債務問題、世界的な経済・金融情勢の不安定さ、総選挙実施による政治的・経済的不確実性といった経済成長のリスク要因を挙げた。

(野田芳美)

(タイ)

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