米労働省、政府閉鎖の中、消費者物価指数を10月24日に公表すると発表

(米国)

ニューヨーク発

2025年10月14日

米国労働省は10月10日、当初10月15日に発表予定だった9月の消費者物価指数(CPI)の数値を10月24日に公表すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今回の措置は、社会保障庁が給付金を正確かつ遅滞なく支払うために必要な措置と説明されている。雇用統計や企業物価指数などCPI以外の統計については、引き続き政府閉鎖が解除されるまで延期されるか、もしくは発表取りやめとなる予定。

CPIが10月28、29日に行われる次回の連邦公開市場委員会(FOMC)前に発表されるようになったことで、連邦準備制度理事会(FRB)は金融政策を判断するにあたって必要となる重要な判断材料の一部を入手できることとなった。金融政策において重要となる雇用・物価のデータのうち、雇用に関しては、米国の給与計算代行サービス大手のADPが発表しているADP雇用統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなど民間統計が比較的多く存在するのに対し、物価に関しては政府統計をカバーできるような質の高い包括的な代替指標に乏しい。

なお、政府閉鎖をめぐっては連日、つなぎ予算法案の投票が行われているが、上院では10月9日時点で既に7回否決されている。トランプ政権は、引き続き民主党への圧力を強める方針で、10月10日にはラッセル・ボード行政予算管理局(OMB)局長が政府職員の解雇(RIF)を開始したことをX(旧Twitter)で発表している。報道によると、解雇対象は内務省、国土安全保障省、財務省、環境保護庁、商務省、教育省、エネルギー省、保健福祉省、住宅都市開発省など広範囲に及ぶもようだ(政治専門誌ポリティコ10月10日)。しかし、共和党が提示しているつなぎ予算案に対し、民主党から賛成にまわる者は9月30日時点から全く増加していない。また、政府閉鎖をめぐる最大の焦点となっている医療費負担適正化法(オバマケア)に基づく医療保険補助金の延長に関しては、共和党内での意見集約になお時間を要するもようで、依然として解決の糸口はつかめていない。

(加藤翔一)

(米国)

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