アサド政権崩壊後初の議会選挙実施、女性や少数派の議席が限られるも当局は公正性を強調
(シリア)
カイロ発
2025年10月09日
シリアで10月5日、2024年12月のアサド政権崩壊(2024年12月10日記事参照)後初となる人民議会の選挙が実施された。速報結果は翌6日に発表され〔10月6日付シリア国営通信(SANA)〕、全210議席のうち119人の議員が選出された。政治的・治安的条件を理由に一部の地域では投票が延期されており、21議席は空席になる。残る70人の議員については暫定政府のアフメド・アル・シャラア大統領が指名する(10月5日付SANA
)。
SANAは今回の選挙について、選挙プロセスは透明かつ完全だったという議会選挙高等委員会の報道官のコメントを紹介した。今回の選挙は間接選挙で、議会選挙高等委員会が公認する選挙管理委員会の構成員のみが選挙権および被選挙権を持つ。同報道官は「公正性の確保のため、選挙管理委員会は社会の実際の構造を反映するよう配慮した」と述べ、選挙結果は有権者の意思の結果であり、特定の政治的指向によるものではないとした。一方で、女性議員が全体の4%に過ぎなかったことに対しては「選挙管理委員における女性の割合を高める努力をしたが、十分でなかった」と認めた。また、キリスト教徒が2議席しか獲得しなかった点については、シリア社会におけるキリスト教徒の割合と比較して代表制が弱いとしながらも、選挙結果はシリアの現実を明確に反映していると断言し、選挙結果の正当性を強調した。
(塩川裕子)
(シリア)
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