EU、南アへの115億ユーロ相当の投資発表

(南アフリカ共和国、EU)

ヨハネスブルク発

2025年10月17日

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は、EUからの115億ユーロ相当の新たな投資パッケージを歓迎した。この投資パッケージは10月9日、ベルギーのブリュッセルにある欧州委員会本部で開催されたグローバル・ゲートウエー・フォーラムの機会に発表された。ラマポーザ大統領は欧州委のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長とともに記者会見を行い、「この構想は貿易と投資の新たな可能性を開き、南アとEU間のパートナーシップと協力の新時代の幕開けとなる」と述べた。

この投資パッケージは、グリーン水素や再生可能エネルギー、鉱物、電気バッテリー開発、ワクチン製造などの重要分野の成長を促進するとともに、鉄道、道路、港湾、物流、デジタル接続にわたるインフラ開発を支援するものだ。

南ア政府サイトによると、EUは南アにとって最大の貿易相手国で、南アへの外国直接投資(FDI)の41%を占め、最も重要なFDI供給源の1つでもある。現在2,000社以上のEU企業が南アで事業を展開しており、50万人以上の直接的・間接的な雇用を生み出しているとしている。

EU側からも同様の発表が10月9日にあり、分野ごとの投資内容が掲載されている(添付資料参照)。投資額の内訳は次のとおり。

  • エネルギー移行の促進(87億ユーロ):エネルギー転換のための鉱物開発、グリーン水素・その派生製品(アンモニア、メタノール、燃料電池)の生産、大規模な太陽光・風力発電プロジェクトなど
  • エネルギー移行で公正さの確保(12億ユーロ):リスキリングや雇用創出支援、二酸化炭素(CO2)排出削減能力の強化、グリーン産業のイノベーション促進、自治体サービスや農業のグリーン化など
  • 接続性(13億ユーロ):道路、港湾、鉄道を含む戦略的輸送回廊の強化、デジタルインフラの支援など
  • 製薬バリューチェーンの構築(2億9,200万ユーロ):規制当局との連携による医薬品の現地製造、市場形成のためのエコシステムの構築など

(多崎央)

(南アフリカ共和国、EU)

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