タンザニア控訴裁判所、ARIPOの下で登録された商標権の権利行使認めず

(タンザニア)

ドバイ発

2025年10月15日

タンザニア控訴裁判所は9月26日、同国はバンジュール議定書を批准していないため、国内ではアフリカ広域知的財産機関(ARIPO)の下で登録された商標権の権利行使をすることができないとの判決を言い渡した(同裁判所判決文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

この件外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、風船ガムやキャンディーなどを販売するケナフリカインダストリーズ(控訴人)の保有する商標権をラカイロインダストリーズグループ(被控訴人)などが侵害したとして、ケナフリカインダストリーズが損害賠償などを求めて提訴した民事訴訟の控訴審だ。タンザニア高等裁判所は原審で、ラカイロインダストリーズグループなどの商標権侵害を認め、損害賠償の支払いなどを命じていた。しかし、控訴裁判所は、ケナフリカインダストリーズが主張する商標権がARIPOの広域の商標権保護に関するバンジュール議定書に基づいて登録されたものであることに着目した。同国はバンジュール議定書を批准していないため、国内ではARIPOの下で登録された商標権の権利行使をすることができないとし、高等裁判所の判断を覆した。

これまで、アフリカの実務者からは、タンザニアを含む複数の国はバンジュール議定書に基づく広域出願の指定国として指定可能ではあるものの、国内法で担保されておらず、ARIPOの下に登録された商標権の権利行使ができないのではないかとの懸念が示されていた。今回の判決により、タンザニアではARIPOの下に登録された商標権の権利行使ができないことが確認された。

今後、タンザニアで商標権の権利行使をするには、同国に商標を直接出願し、登録を受ける必要があることになる。

(後藤泰輔)

(タンザニア)

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