ティヌブ大統領、リバース州の非常事態宣言を解除

(ナイジェリア)

ラゴス発

2025年10月03日

ナイジェリアのボラ・ティヌブ大統領は9月17日、リバース州の非常事態宣言を同日までで解除すると発表した。大統領は、解除にあたり、同州において民主的統治への即時復帰に向けた理解や意欲が広がっており、当初宣言した6カ月を超えて宣言を継続する理由はないと述べた。

非常事態宣言は2025年3月18日、州の統治停滞と治安悪化を理由に憲法305条に基づき発令された。背景には、シミナライ・フラバ知事と、ニエソム・ウィケ前知事(注)派が多数を占める州議会の対立による予算審議の停滞が州の統治機能の深刻なまひを招き、最高裁が同州はもはや無政府状態にあるという判決を出したことに加え、原油を輸送するトランス・ナイジャー・パイプライン(TNP)に対する破壊行為への対応に対する懸念があったとされる。同宣言により、フラバ知事、ンゴジ・オドゥ副知事、州議会議員は職務停止となり、イボケテ・イバス退役海軍中将が暫定管理者として統治を担った(2025年3月25日記事参照)。現地報道によれば、同宣言に対しては40件以上の訴訟が提起されており、フラバ知事が所属する人民民主党(PDP)所属の11人の知事が、与党・全進歩会議(APC)のティヌブ政権に対して非常事態宣言の撤回を求めた訴訟も含まれている。

宣言の解除を受けて、フラバ知事、オドゥ副知事、マーティン・アメウフレ州議会議長らは9月18日から復職し、暫定管理者を退任したイバス中将は、州全体への放送を通じて、フラバ知事の職務復帰に対する州民の支持を求めた。しかし、復帰から10日たった9月28日時点で、フラバ知事は、議会からの要請に反して主要な州政府委員を任命していない。また、フラバ知事がPDPから与党・APCに移籍するかもしれない、という現地報道も出ている。PDP関係者は知事に「党への忠誠と説明責任」を求めたが、PDPのリバース州における最高責任者であるロビンソン・エウォール氏は、フラバ知事がAPCに移籍したとしても、本人の判断にゆだねられるものであり、動揺しないと言及している。

(注)ニエソム・ウィケ前リバース州知事はPDPに所属しているが、APCのティヌブ政権の下、連邦首都地区相を務めている。

(オルファデジミ・オジュラリ、奥貴史)

(ナイジェリア)

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