英政府、CBD食品の初めての認可に向けた意見公募開始
(英国)
ロンドン発
2025年09月08日
英国政府は8月28日、カンナビジオール(CBD、注1)を配合した食品(CBD食品)3製品の新規食品(Novel Food、注2)としての認可申請について、意見公募を開始した(11月20日締め切り)。英国でCBD食品の認可申請に関する意見公募は初めて実施される。
CBDについては、英国のEU離脱前の2019年1月に欧州委員会が新規食品として取り扱うことを決定し、CBD食品は欧州委員会の認可を受けなければ合法的に販売できなくなった。2020年1月に英国がEUを離脱し、イングランドとウェールズでは、2020年2月13日時点で市場に流通し、2021年3月31日までに新規食品としての認可申請が適切になされているCBD食品は、食品基準庁(FSA)が管理するリストに掲載され、認可前でも販売が許容されている。
今回の意見公募の対象は、FSAによる安全性評価を終えた次の3製品(成分)。
- 合成カンナビジオール(CBD)〔申請者:シャネル・マッコイCBD(Chanelle McCoy CBD)〕
- カンナビジオール(CBD)単離物〔申請者:カンナレイ・ブランズ(Cannaray Brands)〕
- 大麻草由来の単離カンナビジオール(CBD)(申請者:EIHAプロジェクト)
FSAの発表によると、FSAのCBD食品リストには用法・用量などの異なる個別の製品をそれぞれ掲載しているため、この3製品に関連するCBD食品だけで約3,000件あるという。
FSAは2020年2月の消費者向け勧告で、健康な成人のCBDの1日許容摂取量(ADI)を70ミリグラムとしていた。しかし、安全性に関するエビデンスの蓄積を踏まえ、2023年10月に10ミリグラムに引き下げている。今回の意見公募でも、ADIが10ミリグラムであることや、18歳未満の子供、妊娠中・授乳中の女性などの摂取は推奨されないとの警告表示を提案している。
また、3製品のいずれも、「食品サプリメント」を含めたカテゴリーでの認可を申請しているが、FSAとしては、CBDについて栄養効果や10ミリグラムの用量での生理学的効果(痛みや不安の緩和など)は確認されていないとしており、栄養効果も生理学的効果も確認できない製品を「食品サプリメント」として認可することの是非についても、意見を求めている。
FSAが2025年4月から6月にかけて行った消費者調査によると、9人に1人(11%)が過去6カ月間にCBDを摂取したと回答し、うち26%は1日当たりCBD摂取量が10ミリグラムを超えている。また、利用の多かった製品はCBDドリンクとCBDオイルだった。
(注1)大麻に含まれる成分の1つ。向精神作用や依存性はないとされ、医療へのさまざまな応用の可能性があると期待されている。
(注2)1997年5月15日以前に英国、またはEU域内で人間の食用に相当程度消費されていなかった食品。販売前に政府の認可を受ける必要がある。
(林伸光)
(英国)
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