米カリフォルニア州上院、家庭用品などからPFASを段階的に排除する法案可決

(米国)

サンフランシスコ発

2025年09月17日

米国カリフォルニア州上院議会は9月13日、家庭用品や調理器具で、「永遠の化学物質」と呼ばれる有機フッ素化合物(PFAS、注1)の使用を2028年以降、段階的に禁止する法案(SB682)を可決した。対象は洗剤など清掃・洗浄目的で使用される清掃用品や、フライパンなどの調理器具、デンタルフロス、12歳以下の子ども向け製品、食品包装、スキー用ワックス。ただし、使用中の製品や、連邦法によって規制が優先される場合は除外される。州知事の署名後に法律は成立し、同州有害物質管理局による実施規則制定を経て、調理器具は2030年から、清掃用品は2031年から、その他の製品は2028年から、PFASが意図的に添加された製品の販売・配布を禁止する。

PFASは耐熱性や撥水(はっすい)性・防汚性に優れ、さまざまな製品に使用されているが、環境中で分解されにくく、人体や動物に蓄積され、神経系・生殖系への健康被害との関連が指摘されている。法案を提出したベン・アレン州上院議員(民主党)は「カリフォルニア州は、調理器具、食品包装、幼児用製品など6つの製品群から、有毒で不必要なPFASの使用を段階的に廃止し、地域社会の公衆衛生と環境衛生を改善することに一歩近づいた」と自身のX(旧Twitter)に投稿した。

連邦政府レベルでは、環境保護庁(EPA)は、2023年3月に6種類のPFAS(注2)に対する全国飲料水基準案を提示し(2023年3月15日記事参照)、2024年4月に正式に規則として採択した。2023年10月には有害物質規制法(TSCA)に基づき、2011年以降に製造輸入されたPFAS製品の使用量・廃棄方法などの報告を義務化し、州レベルではミネソタ州が2025年から化粧品、カーペット、調理器具など11のカテゴリーでPFAS含有製品の販売を禁止した。コロラド州では2024年から意図的にPFASを含む食品包装などを販売禁止しており、2026年には調理器具などのカテゴリーも対象とする(2024年7月3日記事参照)。欧州では、フランスがEUの規制に先駆けて、2026年1月からPFASを含む化粧品や靴、繊維、スキー用ワックスの製造・輸入・販売を禁止する(2025年3月6日記事参照)。

(注1)PFASは、いわゆる有機フッ素化合物の中のパーフルオロアルキル化合物の総称で、耐熱性や耐水性、耐油性、非粘着性などの特性があり、衣料や食品包装、調理器具、化粧品、電子・電気部品、自動車部品をはじめとする多くの産業や製品に利用されている。

(注2)PFOA、PFOS、PFNA、PSHsX、OFBS、HFPO-DA(GenX)の6種類

(芦崎暢)

(米国)

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