世界的フィンテック会議を中東初開催、サウジアラビアの成長性を示す
(サウジアラビア)
リヤド発
2025年09月19日
世界的フィンテック会議「Money20/20」が9月15日から17日にかけて、サウジアラビアの首都リヤドで開催された。同会議は2012年にフィンテック業界の先駆者である米国のシティグループやグーグルによって設立され、革新的な技術や手段について議論する場となっている。
中東地域版として初開催となった今回の会議では、世界各地から集まった450人の有識者による議論が行われ、451社が自社サービスを展示し、3万8,500人を超える来場者を記録した。ムハンマド・ビン・アブドゥッラー・アール・ジャドアーン財務相は開会宣言において、サウジアラビアが世界的な金融センターになるという野心を強調するとともに、国家改革戦略「ビジョン2030」を契機とした官民連携により、フィンテック企業が280社に増加したことや、電子決済が2016年の18%から2024年までに79%へと拡大したことなどを述べた。
また、当イベントでは複数の案件披露が行われた。グーグルペイ(Google Pay)およびアリペイプラス(Alipay+)によるサウジアラビア国家決済システム(注1)との接続認可、ビジョン・バンク(注2)によるデジタルバンキング業務承認、サウジアラビアのユニコーン企業であるタマラ(Tamara、注3)による24億ドルの融資枠設定などが発表された。が発表された。
サウジアラビアは「フィンテック戦略(The FinTech Strategy)」を掲げ、イノベーションの促進、規制改革、デジタル金融エコシステムの構築により、金融テクノロジーにおける世界的なリーダーとなることを目指している。2030年までに、フィンテック企業525社の設立、1万8,000人の雇用機会創出、133億リヤル(約5,254億円、1リヤル=約39.5円)の経済貢献の達成などに注力している。
展示会場の様子(ジェトロ撮影)
(注1)2015年に設立された決済ネットワーク。各銀行で発行されるカードには必ず「mada」マークが付与され、POS端末によるキャッシュレス決済を可能としている。
(注2)イスラム法(シャリーア)に準拠したデジタル民間銀行。
(注3)「後払い」を実現するショッピング・決済プラットフォームを展開する企業。サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、クウェートには、100万人単位のユーザーが存在。
(井村文哉)
(サウジアラビア)
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