サウジアラビア、不動産セクターにおける均衡を図るため、規制条項発表

(サウジアラビア)

リヤド発

2025年09月30日

サウジアラビアの不動産総局(REGA)は9月25日、首都リヤド市内の不動産セクターにおける均衡を図るため、国際的なベストプラクティスと経験に沿った、家主と賃借人の関係を規制する目的の規制条項が承認されたことを発表した。

承認された規制条項は、次のとおり。

  1. リヤド市域内に所在する物件(住宅・商業用不動産賃貸契約)における年間総賃料値上げの5年間停止(既存・新規を問わず)。
  2. リヤド市域内に所在する空室物件の賃貸契約総賃料額は、直近で締結された総賃料額に基づき固定される。
  3. 電子賃貸サービスネットワーク「Ejar」における賃貸借契約の登録申請の必須化。また登録内容への異議申し立て期間の設定(60日)。
  4. 賃貸借契約における自動更新条項の規制。契約期間満了の少なくとも60日前までに、いずれかの当事者が相手方に対し更新しない意思を通知しない限り、自動的に更新されるものとみなす(全都市の物件に適用)。また、賃借人が契約更新を希望する場合(リヤド市域内の物件に限る)、賃料不払いなどの場合を除き、家主は更新を拒否したり賃借人に物件退去を義務付けたりしてはならない。
  5. 家主は、該当不動産物件が、賃料価値に影響を与える大幅な構造的・建築的改修を受けた場合または最終賃貸借契約が2024年以前に締結されたなどの場合、賃料に対して異議を申し立てる権利を有する(既存の契約を除く)。
  6. 規定に違反した者には、違反行為の是正および補償に加え、契約不動産物件の最大12カ月分の賃料に相当する罰金が科される。
  7. 本規定において特に定めのない事項については、民事取引法の規定を適用する。

また、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相は、近年リヤドで発生している住宅および商業用不動産の賃貸価格の高騰という課題に対応するため、不動産価格および関連市場指標に関する報告を含め、今回発表された規制の実施進捗状況について定期的な報告を提出するよう指示した。これは、全ての関係者の権利を保護するかたちで不動産セクターの均衡を達成したいという同皇太子兼首相の強い意向を反映している。

(平田若菜)

(サウジアラビア)

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