李韓国大統領の光復節祝辞、日本との未来志向的な関係構築を明言

(韓国)

ソウル発

2025年08月19日

韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は、8月15日の光復節(注)式典で祝辞を述べ、日韓関係の現状や今後の展望などについても言及した。

李大統領は日韓関係について、「国益中心の実用外交の原則に基づき、シャトル外交を通して頻繁に話し合い、率直な対話を積み重ね、日本と未来志向の共存共栄の道を模索していく」と述べた。また、「私たちの周りには、依然として過去の歴史問題で苦しんでいる方々や、立場を異にする対立も存在する」としつつも、「日本は同じ庭を使う隣国であり、経済発展の重要なパートナーである」と述べた。

また、李大統領は2025年が日韓国交正常化60周年であることを踏まえ、「歴史問題を直視しつつも、未来に進む知恵を発揮すべき時である」と述べた。また、両国国民間の年間の往来数が60年前は1万人だったが、今では1,200万人に拡大したことについても触れた。さらに、「韓国と日本が産業発展の過程で共に成長してきたように、両国が信頼をもとに未来に向けて協力する時、超格差人工知能(AI)時代における課題についても、両国が連携して乗り越えていけるだろう」と、未来志向的な方向性を示した。

聯合ニュース(8月15日付)は、「李大統領が祝辞で未来志向的な韓日関係に重きを置き、石破総理(首相)も追悼の辞の歴史関連内容に変更を加えた。韓日首脳は来週日本で開かれる首脳会談でも関係強化の基調の中でさまざまな協力案を議論する見通しだ」と述べ、今回の祝辞が、8月23日に予定されている日韓首脳会談につながるとの見方を示した。

祝辞では日韓関係のほか、韓国と北朝鮮における緊張緩和と信頼回復を追求していくことや、半導体・AIなど先端科学技術の育成やエネルギー転換、文化・ソフトパワーの強化などについても言及し、「世界をリードする韓国、平和と繁栄に満ちあふれた国、国民主権の光が放ち続ける国を目指して、国民の皆さま、共に歩みましょう」と祝辞を締めくくった。

(注)光復節は、1945年8月15日に朝鮮半島が日本の植民地支配から解放されたことを記念した祝日で、在任中の大統領が祝辞を述べることとなっている。2025年は解放80周年にあたり、李大統領が日韓関係についてどのようなメッセージを発するのか注目されていた。

(橋爪直輝)

(韓国)

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