5月の国内販売と国内販売向け自動車生産、BEV/PHEVが大幅増加
(タイ)
バンコク発
2025年07月01日
タイ工業連盟(FTI)は6月24日、5月の自動車生産台数が前年同月比10.3%増の13万9,186台だったと発表した(添付資料表参照)。今回の発表によると、5月の部門別では、乗用車が前年同月比15.3%増の5万4,135台、開放式の荷台がある小型貨物自動車・ピックアップトラックなどの商用車が7.4%増の8万5,051台だった。自動車生産台数全体の62.7%を占める輸出向けは1.7%減の8万7,297台、一方、国内販売向けは38.9%増の5万1,889台と大幅に増加した。
国内販売向け生産の大幅な増加は、バッテリー式電気自動車(BEV)の生産が7.4倍、プラグインハイブリッド式電気自動車(PHEV)の生産が2.3倍と急増したことが要因だが、中国自動車メーカーによるBEVの大幅な値引き販売や、中国のBYDでPHEVの新モデル投入による需要喚起が背景にある。
2025年1~5月累計の自動車生産台数は、前年同期比7.8%減の59万4,492台だった。部門別では、乗用車が11.1%減の21万3,649台、ピックアップトラックなどの商用車が5.9%減の38万843台となった。また、輸出向けは10.2%減の39万95台、国内販売向けは2.9%減の20万4,397台と、全てマイナスとなっている。なお、国内販売台数は、5月は前年同月比4.7%増の5万2,229台で、2カ月連続の増加だったが、その背景は前述のとおりで、今後の反動減が懸念される。国内販売の1~5月累計は前年同期比3.0%減の25万2,615台だった。
企業の動向をみると、中国メーカー(注)は、2025年に入っても販売攻勢を強めており、1~5月累計の乗用車販売シェアは2024年通年の18.8%から22.5%と、3.7ポイント上がっている。他方、日本メーカーのシェアは1~5月累計では2024年通年の64.8%から61.4%と、3.4ポイント下がっている(添付資料図1参照)。
商用車販売シェアでも、1~5月累計の中国メーカーは、2024年通年の7.1%から12.1%と、5.0ポイント上がっている。他方、日本メーカーのシェアは、1~5月累計で2024年通年の84.4%から76.6%と7.8ポイント下がっている(添付資料図2参照)。自動車全体の総販売シェアでは、中国メーカーの1~5月累計は2024年通年の11.6%から16.3%に、4.7ポイント上がっている。日本メーカーの1~5月累計は、2024年通年の76.7%から70.7%に、6.0ポイント下がっている(添付資料図3参照)。
5月の完成車の輸出台数は前年同月比9.2%減の8万1,071台、輸出額は12.5%減の約552億バーツ(約2,429億円、1バーツ=約4.4円)となった。完成車とエンジン、部品、スペアパーツを含む輸出額は、8.7%減の約764億バーツだった。また、1~5月累計では、完成車の輸出台数が前年同期比13.7%減の37万1,272台、輸出額は14.5%減の約2,569億バーツだった。完成車とエンジン、部品、スペアパーツを含む輸出額は、9.9%減の約3,619億バーツだった。
(注)中国企業には、長城汽車(GWM)や上海汽車(MG)、哪吒汽車(NETA)、BYDなどが含まれる。
(高谷浩一、チャナットパット・スクマ)
(タイ)
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