「レアアースの都」の内モンゴル包頭市、産業集積への投資活発化

(中国)

上海発

2025年06月26日

中国のタングステン大手の厦門鎢業(アモイタングステン)は6月20日、内モンゴル自治区包頭市の希土(レアアース)ハイテク区で建設を進めていたネオジム磁石(注)工場(第1期)が完成し、稼働したと発表した。同工場への投資計画は2024年8月に承認され、4億6,222万元(約92億4,440万円、1元=約20円)を投じた。ネオジム磁石の年間生産能力は5,000トンで、風力発電機、産業用モーター、家電製品、新エネルギー車(NEV)などに、省エネ技術を実現する中核的な材料として利用される。フル稼働すれば、同社の磁石生産能力(半製品ベース)が年間2万トンに拡大するという。

深セン証券取引所上場のレアアース磁石メーカーの包頭市英思特希磁新材料も6月19日、包頭市希土ハイテク区でレアアース磁石の生産拠点を建設すると発表していた。総投資額は6億5,000万元で、2期に分けて実施する。予定している工期は、4億元を投じる第1期が2025年6月~2027年6月、2億5,000万元を投じる第2期が2027年6月~2028年6月としている。同工場で高性能レアアース磁石、焼結放射磁気リングのほか、ネオジム磁石の製造装置(成形プレス機器と金型)なども生産する。また、レアアース磁石は主に駆動モーター、マイクロモーター、ロボット向け関節モーターなどに使用さるという。同社は投資目的として、技術革新を通じてレアアース磁石の高性能化、低コスト化、量産化を実現し、新興産業の市場競争力を高めるほか、包頭市にある豊富なレアアース資源を活用しながら、レアアース磁石の生産、応用研究までのサプライチェーンを構成することを挙げた。

習近平国家主席は2023年6月に内モンゴル自治区を視察した際、レアアースを豊富に抱える同地域を「中国最大のレアアース新材料基地」「世界をリードするレアアース応用基地」に育成するよう指示した。

最近、包頭市を中心にレアアース産業の集積が加速しており、「レアアースの都」ともされている。包頭市工業情報化局によると、中国初の希土新材料イノベーションセンターが既に稼働したほか、中国上位磁石メーカー15社のうち、同市に生産拠点を設置した企業も10社に上った。また、包頭市の希土新材料クラスターは、中国工業情報化部が2024年12月に承認した「国家先進製造業クラスター」(35カ所)の1つに選ばれた(「経済参考報」6月16日)。

(注)ネオジム磁石は、サマリウムコバルト磁石とともに、レアアース磁石の代表格で、ネオジム、鉄、ホウ素で構成される強力な永久磁石。

(劉元森)

(中国)

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