大連市、人工知能産業の質の高い発展促進実施意見を公表

(中国)

大連発

2025年06月05日

中国の遼寧省大連市政府は5月12日、「大連市人民政府の人工知能(AI)産業の質の高い発展促進に関する実施意見」を公布した。同意見は、国家のAI・ロボット産業発展戦略の着実な実行およびAI産業の発展のために制定されたもの。

同意見では、特化型AIモデルの開発促進による産業集積の牽引など5分野の取り組みを定めている(添付資料表参照)。また、これらに取り組むための措置として、関連部門が共同で参画する次世代AI産業チームの設立や、水中ロボット、エンボディド(Embodied=身体性を持つ)AIロボットなど重点分野におけるリーディングカンパニーの育成などが策定された。

同意見では、大連市のAI産業の現状について次のようにまとめている。

  • 人材:同市のソフトウエア人材および情報技術サービス人材は20万人以上。
  • 計算力インフラ:同市AIコンピューティングセンターなどをはじめ、処理能力は500ペタフロップス(PFLOPS、注1)に達する。
  • イノベーションプラットフォーム:遼寧濱海実験室、遼寧水中ロボット・エンジニアリング研究センター、大連工業ソフトウエア・イノベーション発展研究院など36のプラットフォームが完備。
  • 技術イノベーション能力:両眼立体視、水中グラビング、高精度力制御、精密組み立てシステム・インテグレーションなどが国内で先行。
  • 応用シーン:新たな化学工業研究開発パラダイム(中国科学院大連化学物理研究所)、水中ロボットシステム・インテグレーション(大連海事大学)、工業ロボット自動生産ラインによる全工程AIソリューション(大連豪森知能製造、大連奥托)、組み立ておよび運搬ロボットの自動車、電子分野におけるスケール化(大連誉洋工業知能、大連大華中天科技)、レベル3(注2)相当の自動運転能力(大連東軟智行科技、大連中科創達ソフトウエア)。

(注1)ペタフロップス(PFLOPS)は、コンピュータの処理性能を表す単位の1つで、浮動小数点演算を1秒間に1,000兆回行うことを表す単位。

(注2)5つのレベルに分けられ、レベル3は条件付き自動運転を指す。システムが全ての運転タスクを実施するが、システムの介入要求などに対してドライバーが適切に対応することが必要。

(李穎)

(中国)

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